世界で最もフレキシブルなカメラ用モーションコントローラー「PINE」

撮影におけるいわゆるカメラワークと呼ばれるものは、以前は手動で行うことが多かったものの現在ではプログラミングによってカメラをコントロールするのが主流だ。

プロフェッショナルの世界においては多用されているプログラムによるカメラコントロールだが、予算の問題でアマチュアやセミプロレベルではスタビライザーや三脚を使用して手動で行うことがメインになっていたものの、この度リリースされる「PINE」と呼ばれるモーションコントローラーは、リーズナブルな価格でプロレベルのカメラワークを再現してくれる高性能の小型コントローラーだ。

世界で最もフレキシブルなカメラ用モーションコントローラー「PINE」


高性能カメラコントローラーのPINE

PINEはプロフェッショナルレベルのカメラワークにも対応できるよう、撮影に必要なあらゆるハードウェアとの接続が可能になっている。カメラ本体はもちろんカメラワークを設定するスマートフォンやPC、カメラ本体や撮影対象となるオブジェクトの挙動に必要なターンテーブルやパン、ティルト、スライダーなど、すべてをPINEでコントロールできるよう入出力が用意されている。

PINEがプロフェッショナルからビギナーまで使える理由の一つに、スマートフォンやタブレット端末からコントロールすることができる点にある。対応OSはiOSとAndroidの両方で、あらゆる設定をアプリケーション上で完了させてしまうことができる使い勝手が魅力だ。

そして一度セットアップを終えてしまえば、仮にスマートフォン本体のバッテリーが切れたりPINEコントローラー本体との接続が失われてしまっても、設定通りカメラコントロールを行なってくれるというのはありがたい。

想定外の事態にも最大限対応してくれる頼もしさもPINEの魅力の一つだろう。

PINEが可能なカメラワークについて

PINEがコントロール可能なカメラワークとしては多岐にわたる。

例えばギガピクセル写真の撮影だ。ギガピクセルはもはや人間の目では認識できないほどの精密写真を撮影する技法で、何枚もの写真を重ね合わせることで大きな写真を恐ろしいほどの細かさで形成してしまうというもので、これには安定した撮影環境と合成の際にズレが生まれない精密な写真撮影が要求される。

https://ksr-ugc.imgix.net/assets/020/198/670/0c1669d80865dbcf1c4325d3cb4a8d4f_original.gif?w=680&fit=max&v=1518356406&auto=format&gif-q=50&q=92&s=47c24d8009e139974b4c0bc7b2dad3da

PINEはセットパップさえしてしまえばあとは自動で写真撮影を計算しながら行い、精密なモザイクを形成しつつ一枚の大きく精密なギガピクセル写真を作成してくれる。

360度写真もPINEが簡単に行えるカメラワークの一つである。ハードウェアさえ揃っていればPINEは正確に上下左右のカメラモーション制御ができるため、立体的で独特の360度写真を一枚のピクチャとして撮影することが可能となる。

https://ksr-ugc.imgix.net/assets/020/198/692/a102d6b8865884878b146f4a3afa5326_original.gif?w=680&fit=max&v=1518356604&auto=format&gif-q=50&q=92&s=f2c3b415ba4dffdc49833a3ce6ae0f7a

最近ではスマートフォンのカメラ機能でも定番となりつつある、タイムラプス機能もPINEのカメラワークが可能とするものの一つだ。三脚やターンテーブルがあれば、静止下タイムラプスだけでなく、カメラを回転させながらのより立体的なタイムラプス動画を撮影することもできる。

もちろん一般的なライブ動画の撮影もPINEによってコントロール可能だ。オブジェクトに動きがあり、その中で安定してカメラの中央にとらえ続けなければいけない場合、繊細なカメラワークがようキュされるものだが、PINEに任せてしまうと一度ターゲットを設定さえすればあとは自動でターゲットを追尾し、ピントを合わせ続けてくれるというものだから、これ以上に有能なカメラマンもいないだろう。

単なる映画や写真撮影だけでなく、PINEの繊細でダイナミックな動きを他の分野に活用することもできる。

例えば安定したカメラワークを活用した、3Dスキャンとしての使い道だ。インクジェットプリンタで印刷するための2Dスキャナとは違い、立体物を3DプリンターやCG作成のためにスキャンしようとすれば特殊な機材が必要になることもあるのだが、PINEとカメラ、そしてターンテーブルとスライダーがあれば、いつもの撮影のごとくオブジェクトを撮影し、簡単に形状をデジタルデータに変換することができてしまう。

https://ksr-ugc.imgix.net/assets/020/198/694/830c44330d68d103d527e8695ed2aa80_original.gif?w=680&fit=max&v=1518356643&auto=format&gif-q=50&q=92&s=64bd8e7b321ffcb2c541c290cafb7078

PINEを活用することで、立体物のデジタル化にも大きく貢献することができるのである。

もちろんスライダーやターンテーブルの動作はPINE上ですべてコントロールすることができるので、自分の好きなカメラワークを自在に作り出すことも可能だ。ここで紹介されている以外の撮影技法が、PINEをうまく使えば生み出すことができるかもしれない。

PINEは現在Kickstarterで出資者を募っており、4万ユーロを目標金額に設定している。現在はすでにプロトタイプが完成しており、あとは生産していくステップに入っているため、生産段階でトラブルが起きなければ順次発送されていく予定だ。

PINE本体は400ユーロの出資でリワードとして手に入れることができ、ターンテーブルやスライダーがセットになったバンドルパックは1449ユーロ以上の出資で入手することができる。

PINEも欲しいが機材も欲しい、という人にはうってつけのバンドルパックとなるだろう。