ペットの健康をスマホで管理できるウェアラブルデバイス、Pet Pace

ペットを飼っている人であれば、できるだけペットに長生きしてほしいと誰もが願うだろう。しかし、ペットが体調を崩したり病気にかかっていたりしても飼い主が気づかない限り適切な治療を受けることができないため、いつの間にか病状が進行している場合がある。

ペットの体調の変化は微妙なシグナルであり、たと毎日生活を共にしていたとしても飼い主がその変化に気づくのは難しい。ペットの病気を発見できたときには病状は進行しており、手の施しようができない状態になっていることも珍しくない。

この問題を解決するために、ペットのためのウェアラブルデバイスが開発された。

PetPace(ペット・ペース)というアメリカの企業が販売している生体認証センサーを搭載した機器だ。以下では、PetPaceのウェアラブルデバイスがどのようなはたらきをするのか解説していきたい。

PetPaceのウェアラブルデバイスの特徴

ペットの健康をスマホで管理できるウェアラブルデバイス、Pet Pace
画像出典:PetPace

Pet Paceが販売している商品は「Smart Sensing Collar(スマート・センシング・カラー)」と呼ばれるものである。

Smart Sensing Collarはペットの首輪にセンサーが搭載されており、この首輪のセンサーを通してペットの健康状態の測定・モニタリングをおこなう。体温、活動、心拍数、呼吸、位置、消費・燃焼したカロリーといったデータを取ることができる。これらのデータを測定することによって、ペットの健康に問題が見られる場合に飼い主が早期の段階で病気の可能性に気づくことができ、獣医に相談することで適切な医療措置をペットに受けさせることができる。

2分/10分/15分おきにペットの健康状態を測定しデータセンターに送信することが可能で、データから病気の前駆症状や著しい健康状態の低下が見られた際はアラートで飼い主また獣医に知らせる。

Smart Sensing Collarはペットの首輪にあるイーサネットポートを介しモデムに接続することで特別なゲートウェイで動作する。丈夫で防水性にも優れており軽量なため、ペットにストレスをかけない作りになっている。

データはスマホにインストールしたアプリで表示させることができるため、たとえペットを家に残して外出するときでもペットの状態を遠隔地から確認することも可能だ。屋外でもネットワークが届く環境であれば、1000ヤード以内で測定ができる。

Smart Sensing Collarの製品情報

ペットの健康をスマホで管理できるウェアラブルデバイス、Pet Pace
画像出典:PetPace

Smart Sensing Collarの製品情報は以下の通りである。

●首輪:

・シングル・プッシュボタンインターフェース
・LED表示
・IPX7防水仕様
・室内・屋外使用に適する
・エレクトロニクスケース:40mm x 35mm x 15mm
・重さ:43g
・調節可能ストラップ、サイズ展開:S・M・L
・約3,600g以上のペットに適する

●ゲートウェイ:

・LED表示
・充電用標準マイクロUSBコネクタ
・Ethernet 10/100BASE-T
・シングルゲートウェイ:首輪30個分まで対応
・大きさ:78mm x 60mm x 51mm
・重さ:62g
・要件:オープンなEthernet環境
・距離:(オープンスペースで)1,000ヤードまで

Pet Paceの4つのプラン

Pet Paceには4つのプランが用意されており、この4つの中からいずれかを選ぶ。年齢を重ねたペットや元から健康状態に問題があるペット向けのプランがあるため、必要に応じて選択することが可能だ。

1年ごとのプランで、申し込み時に首輪とモニタリングプランを選択することが可能。PetPlatinumのみ期限はなく病気のリスクがあるペットに対する生涯サポートを申し込むことができる。

ペットの健康をスマホで管理できるウェアラブルデバイス、Pet Pace

画像出典:Pet Pace

コースの概要は次の通りだ。

●Pet Starter Plan
ペットの健康やフィットネス・ダイエット・エクササイズについてトラッキングするのに理想的

●Pet Plan
年齢を重ねたペットに理想的

●Pet Plus Plan
病気を抱えているかリスクを抱えているペットに理想的

●PetPlatinum
病気を抱えているかリスクを抱えているペットに理想的、期間の制限がない生涯サポートプラン

2018年3月21日に発表されたPetPace Bio-Response™

PetPaceは2018年3月にPetPace Bio-Responseを発表した。この技術はペットの状態をより精確に分析しペットの健康状態をよりわかりやすく飼い主に知らせるものだ。データを収集してペットの症状をラベリングし、将来似たようなデータが測定された場合に飼い主に知らせる仕組みである。例えば痙攣、呼吸、気温、行動、ポジション、HRVといった変化など、ペットが症状の発作を起こす原因についてデータを基にして飼い主がペットの状態を理解することに役立つ。

Smart Sensing Collarは飼い主が遠隔地にいても機能を活用可能

Smart Sensing Collarは飼い主がペットの健康状態をよりよく把握するのに非常に便利であるが、飼い主が長期間家を空けなければいけないときにも役立つ。

家族や知人、またペットホテルにペットを預ける際、ペットに突然何らかの病気が出たらと不安な人も多いだろう。Smart Sensing Collarを利用していれば遠隔地であってもペットの微妙な健康状態の変化を知らせてくれるため、もし何かが起きたとしてもパニックにならずに適切な処置を適切なプロセスで処理することができる。

Smart Sensing Collarはペットを飼う人にとって心配の種を取り除いてくれる頼りになる機器である。

Smart Sensing Collarによってペットの病気発見に繋がった事例

こちらのページではSmart Sensing Collarによってペットの健康状態の障害が見つかった事例が紹介されている。

ひとつ例を挙げてみよう。アメリカに住む14歳の老猫Mayaは健康状態に問題はなかったが、Smart Sensing Collarによって甲状腺の障害が発見された。心拍数の上昇とHRV(心拍変異度)の低下が見られたため、飼い主によって獣医の診察を受けることになった。

血液検査の結果、甲状腺ホルモンと赤血球数の上昇が発見された。老齢の猫によく見られる甲状腺機能亢進症の前駆症状であることがわかった。この結果が得られたあと、Mayaには甲状腺ホルモンを減らすための薬物療法がおこなわれたため、適切な処置を取ることができた。

甲状腺機能亢進症では、エネルギー消費が活発になりすぎることにより様々な身体的症状の変化が現れる。個体差はあるが、普段と同じ食事の量を与えているのにもかかわらず痩せていったり、疲れやすくなったり、病気が進行すると内臓へのダメージなど悪影響を及ぼすことがある。もしペットがこの病気にかかったとしても、飼い主にはペットが普段に比べて元気に見えてしまうため、病気であると理解するのは難しい。

Mayaのケースは病気の早期発見ができたことで適切な処置がおこなわれたため、病気の進行を抑えることができた。

まとめ

PetPaceのウェアラブルデバイスは大切な家族の一員であるペットの命を守ってくれる。ペットは人間と違って言葉でコミュニケーションが取れない分、PetPaceのSmart Sensing Collarを活用しペットの健康を管理することによって重大な病気の前駆症状に飼い主が気づくことを可能にし、適切な処置をペットに受けさせることができる。

参考:PetPace
https://petpace.com/