宇宙で活躍できるドローンの開発を目指して。「Drones for Space Operations」

ドローンはここ数年で一躍その名前を轟かせるようになったテクノロジーであるのにもかかわらず、すでに私たちの生活に深く関わる存在となりつつある。

無人でありながら有人でなければこれまでは成し得なかった複雑な作業も行えるようになりつつあることから、これからも人々のライフスタイルを大きく変化しつつある可能性を秘めているドローンは、すでに宇宙開発分野においても着実に開発が進んでいる。

私たちの地球での生活の質の向上はいうまでもなく重要であるが、地球を飛び出した宇宙での活動は生物がろくに活動できる空間ではないぶん、常にテクノロジーの最先端が凝縮されている人類のフロンティアでもある。

加えてドローンという存在は、人手を用意せずとも人間の仕事を行なってくれる可能性を秘めている技術であるため、これからは宇宙開発には欠かせない存在となってくることは間違いない。

そして宇宙開発といえばアメリカやロシアのように国家で取り組むプロジェクトであったものの、現代では民間で宇宙開発を積極的に行なっていくことがトレンドになりつつある。今回紹介する「Drones for Space Operations」プロジェクトもまた民間による宇宙開発向けドローンの開発プロジェクトの一つだ。


宇宙空間でドローンに求められる役割

無重力空間でバッテリーの続く限り真空状態での活動が可能なドローンには、様々な用途への応用が可能であると考えられているが、Drones for Space Operationsが想定している主なドローンの活用方法は、選外作業中や建築作業の際のバックアップを行えるドローンで、宇宙空間で喪失してしまいそうになった備品やパーツの回収、そしてパーツの分離を未然に防ぐことが主な目的である。

宇宙開発分野では話題になることも多いのだが、人間の宇宙開発によって宇宙空間に放出されてきた産業廃棄物、いわゆるスペースデブリの問題は深刻で、いつデブリが人口衛星やシャトルを傷つけてしまうかわかったものではない。しかしながら無重力空間に放出されてしまったパーツを回収することはコストもかかる上に困難な作業であるため、できる限り無駄なデブリの放出は未然に防げるようなテクノロジーがこれまで求められてきたのである。

Drones for Space Operationsはこのスペースデブリの放出に関する問題を、主に三種類のドローンを用いることによって解決を図っている。

開発の進む三つのドローン

一つは「Observer Drone」と呼ばれるドローンで、これはいわゆる船外活動の監視を行ってくれるドローンだ。

宇宙で活躍できるドローンの開発を目指して。「Drones for Space Operations」


宇宙飛行士が船外で活動する際、見晴らしの良いポジションにこのドローンをセットし、活動に必要なパーツが作業中に飛んで行ってしまったり、工具がいつのまにかポケットから飛び出してなくしてしまわないよう監視してくれる機能を果たす。
もし備品の放出を検知した際には、手の届く段階でそのことを宇宙飛行士に報告してくれる便利なドローンとなっている。

二つ目が「Frog's tongue(カエルの舌)」と呼ばれるドローンで、これは放出された備品が手の届かない範囲にまで飛んで行ってしまった際に使用するドローンだ。

宇宙で活躍できるドローンの開発を目指して。「Drones for Space Operations」


基本的に宇宙飛行士は限られた距離までしか移動することができず、リスクを避けるためにも船外活動は消極的なもので終わらせたいものである。しかしながらこのドローンがあれば小さなパーツひとつのためにリスクを承知で船を離れずとも、少し遠くに飛んで行っただけの備品を用意に回収することができる。

Frog's tongueは音声操作のマジックハンドのようなもので、特徴的なアームを伸ばしてパーツを回収してくれる。足は四脚となっており、たいていのシチュエーションであれば本体を固定してパーツ回収の作業にあたってくれる。
船外活動は動きづらい宇宙服を身につけながら行わなければならないぶん、音声操作は非常に有効な機能であると言えるだろう。

そして三つ目のドローンが「Retriever」と呼ばれるもので、これは自律飛行が可能となることで数マイル先の備品も回収できてしまう有効距離の長さが特徴のドローンだ。

宇宙で活躍できるドローンの開発を目指して。「Drones for Space Operations」


Frog's tongueでも届かない距離にあるオブジェクトの回収が目的となっており、あらかじめ設定された発着地点からの往復でその業務を遂行してくれる。

そのため不意の発射で船外活動中の宇宙飛行士に危害を加えるリスクも最小限に留められているのだ。

また、これらのドローンは宇宙飛行士の救助にも用いることができる。何らかのトラブルで無重力空間に放り出された場合、Frog'stongueはそのアームを用いて宇宙飛行士を押し戻してくれ、Retrieverもまたその自律推進機能を使って飛行士を押して帰ってきてくれるという、浮き輪のような役割を果たしてくれるのである。

Drones for Space Operationsは現在Kickstarterで出資者を募集しており、目標金額に設定している5万ドルは開発費用に充てられることとなっている。