自動車運転で環境保全に努めるために「Drive Tag」

二酸化炭素の排出が過剰になったことが原因で発生しているオゾン層の破壊といった環境問題は、2000年代初頭に取り上げられていた時に比べると格段に状況は改善し、日本をはじめとする先進国の積極的なゼロ・エミッションに向けた施策が功を奏していると考えられる。

だが、後進国やアメリカのような前世代の自動車に依存していたり、そもそも自動車がなければ生活が成り立たないような地域で二酸化炭素の排出を抑えることは難しく、まだまだ改善の余地は大きいと言えるだろう。

二酸化炭素の排出を抑えるには、そもそも二酸化炭素を排出しない自動車に乗ったり、燃費の良い車に乗り換えるなど、新しいテクノロジーから生まれた製品を使用することが一番であるとされているが、コストの面から誰でも新車を購入できるわけではない。

そこで誕生したのが「Drive Tag」と呼ばれる製品で、これは自動車の性能を引き上げるのではなくドライビングテクニックそのものに働きかけることで二酸化炭素の排出を抑えるというものである。


ドライビングを改善して環境を守るDrive Tag

車の燃費性能や何を燃料とするかという事柄は、二酸化炭素の排出を考える上では重要な要素となっているが、生身の人間による意識的なドライビングはそのような性能面と同じくらいに二酸化炭素の排出に関わる問題であることはあまり認知されていない。

Drive Tagはそんなドライバーの運転技術に働きかけ、環境に優しい運転を心がけてもらえるよう矯正していくことが目的のプロダクトだ。製品そのものは一枚のステッカーとスマートフォン上からダウンロードできるアプリケーションの二つで構成されており、車の性能や車内を圧迫するようなことはない。

自動車運転で環境保全に努めるために「Drive Tag」


使用の際はステッカーをフロントガラスに貼り付け、アプリをダウンロードするだけで準備完了となるのだ。

Drive Tagが行うのは、実際の走行距離やアクセルやブレーキといった動作、車がコーナーを曲がっていることの感知など、走行に関わる動きのほとんどを捉え、その実際の動きからどれくらいの燃費、はたまた二酸化炭素の排出が行われているのかということを計算するというものである。

自動車運転で環境保全に努めるために「Drive Tag」


Drive Tagによって感知された一挙一動はスコアとしてアプリケーションの中に記録され、優れた運転スキルを示せば示すほどアプリケーションをダウンロードした際に作成したアカウントに加算されていき、他のDrive Tagユーザーとスコアを比較し合うことが可能になる。

ドライビングをスコアにすることのメリット

Drive Tagは健全な運転をゲーム化し、どれだけ丁寧な運転ができるかをスコアにすることで燃費効率の向上、ひいては二酸化炭素の排出を抑える働きをしてくれるというアイテムなのである。
燃費効率の良い丁寧な運転というものはよく耳にはするものの、実際の数値として目に見える機会は少ないため、どうしても意識して取り組みにくい要素であり続けてきた。しかしながらDrive Tagのように丁寧な運転がスコアとして可視化されるようになれば、普段はあまり燃費を意識したドライビングを心がけない人であっても運転が目に見えて丁寧になるのではないか、という実験も兼ねたプロダクトであると言えるだろう。

自動車運転で環境保全に努めるために「Drive Tag」


燃費を意識した運転の効果は想像以上で、車による差はあれど最大で30%にも登る燃費効率の向上に繋がるとも言われている。また、環境に優しい運転を心がければ必然的に極端なアクセルやブレーキをかけることも少なくなるため、車内の安全や事故の防止にも大きく貢献することができる。

財布に優しく、環境に優しく、そして健康にも優しい運転を、Drive Tagは実現してくれると言えるだろう。

燃費の良い運転は二酸化炭素の排出を抑えることももちろんだが、運転に使用するガソリンの量も減らすことができるので、現在枯渇が進んでいると言われる石油燃料の省エネルギー化にも勤めることができる。

石油は私たちの生活に必要なあらゆる製品の生産に関わる重要な資源である。そのため自動車向けのガソリンの精製量を減らすことができれば、他の生活に関わる石油資源の活用に使うことができるため、自動車の燃費効率は私たちの生活を守る上でも重要な役割を持っているのである。

Drive Tagは現在Kickstarterで出資者を募っており、2万5千ユーロを目標金額に設定している。24ユーロ以上の出資でDrive Tagを一枚リワードとして入手することができ、世界各国への発送にも対応しているので、日本からでもこの活動を支援することができる。

日本は比較的自動車の利用率はそこまで高くない部類に入る先進国であるため、自動車と環境問題について考える人は減ってきているかもしれない。しかしそれでもできる人ができることを初めていくことによって解決していく問題もある以上、Drive Tagの利用は決して無駄になることはないだろう。