NFC機能を有するRFIDスマートフォンケース「MagiKit」
だがいくらICカードが便利とはいえ、そのテクノロジーに慣れが生まれると不満も感じるようになってくるものである。例えばICカードをあまりにも多くのシチュエーションで使用することになってくれば、普通の鍵を持ち歩くのと同様にポケットがアクセスカードでいっぱいになってしまうというような事態だ。
ただ数が増えるだけでなく、ICカードの使用機会が増えることで毎回どのカードがそのアクセスに必要かを思い出し、ポケットから取り出す手間というものは想像するだけでも歯がゆいものであるが、「MagiKit」はそのようなICカードがもたらす不幸な未来を取り払ってくれる可能性を秘めたスマートフォンケースだ。
NFC技術がICカードの肝に
まず、現代で一般的なICカードで使用されている技術について理解しておく必要があるだろう。ICカードはNFC(近距離無線通信)技術を用いたRFIDによる情報読み取りがなされることでアクセスキーとして機能している。いわゆる非接触ICカードはこの技術が使われている。
NFCというのは情報通信技術の一つで、ジャンルとしてはWi-FiやBluetoothといったテクノロジーの一つであると言える。Wi-FiやBluetoothとは異なり、送信できる情報量や情報送信できる距離はかなり近く、まさに近接通信のための技術で、インターネット通信やNFCを用いたデバイス間の常時連携は難しいものがある。
しかしNFCの最大のメリットは事前に機器同士を認証させる必要もなければ、スイッチのオンオフを切り替える必要もないところで、瞬間的な情報通信を行うのには最適のテクノロジーなのである。
この機器同士の認証が不要であることや、瞬間的な情報通信が可能であることはまさに交通機関での使用や、ドアロックにおいて特に有効な通信手段であると言える。これらのケースではWi-FIの接続設定のような悠長な時間は用意されていないため、とにかく素早く情報をやり取りし、認証を獲得することが必要とされるためだ。
最近はWi-FiとNFCを掛け合わせた通信技術も発達するなど、NFCの技術はICカード以外でも応用されているのが散見される。少ない情報のやり取りはカメラのインターネット接続の支援などにも応用されるなど、情報量が少ないながらもデータ量の大きなメディアの共有を手助けできるよう開発が進められている。
MagiKitの進化はICカード登録機能にあり
MagiKitに関してはICカードの利便性の向上に注目したプロダクトである。RFID機能を備え、スマホケースに一度IDを登録してしまえばそれ以降はわざわざ対応するICカードを取り出さなくともスマホケースごとスマホをかざすだけで認証を行えてしまえるのが何よりの特徴だ。
日本でもICカードを収納できるスマホケースや、交通系ICカードに対応するスマホなどは日常でもよく目にする。MagiKitの基本的な使い方はそういったスマホケースと同様で、背面部分に用意されたICカードホルダー部分にカードを装着しておくことで、頻繁に使用するICアクセスを容易に行うことができるというものだ。
ただしMagKitの優れた特徴はもう一つの機能にある。MagiKitを使えばあらゆるICカードを好きにスマホケースに登録し、それ一台であらゆるICカードアクセスを可能にしてしまうのである。
仕組みとしては、ケースに専用のチップが組み込まれており、そこに登録したいICカードの情報を記憶させることでスマホケースをICカードとして使用することができるというものだ。ICカードの登録は、付属のMagiKit Boxと呼ばれるものを用いて行う。MagiKit CaseとMagiKit Boxを同時に用いることで、MagiKit Caseに使いたいICカードを登録することができる。
登録方法もシンプルで、いつでも誰でも使うことができる。まずMagiKit Boxの上に自分が使いたいICカードをセットし、実際にスマホに装着して使うMagiKit Caseにリンクして情報を送信する。あとはMagikit Caseをスマホに装着し、ICカードを使うようにMagiKit Caseをアクセス先にかざせば、問題なく認証が降りるという仕組みだ。
このようなICカードの効率化は日本を含めた先進国において特に有効な問題解決であると言えるだろう。
Magikitは現在Kickstarterで出資者を募集しており、1万ドルのファンディングゴールを目標としている。56ドル以上の出資でケースとボックスの二つがセットになったバンドルパックをリワードとして獲得でき、発送も世界各国へ対応しているので興味のある方は出資してみるのも良いだろう。