ヨーロッパ初のアクアリウム環境維持装置「Aqwality」
犬や猫のようなペットを飼うのとは違い、アクアリウムは水中という環境を構築した上で生き物を飼うため、生き物よりもむしろ水槽や小石の設置、苔の掃除など、むしろその環境を維持することが重要で、生き物を購入するよりもコストがかかるものである。
水槽の状態維持が重要視される理由として、観賞用として見た目の美しさが大事であることも一つなのだが、やはり大きな理由は水槽内の生き物の生命に関わる問題であるためだ。自然環境であれば魚などはその場所が自分に適していないと感じた場合はその場から逃げれば良いだけなのだが、閉鎖された空間である水槽の中ではそうはいかない。
そのため水槽の持ち主は適度に水槽の状態をチェックし、中の生き物に害はないかを確かめる必要があるが、その手間を大きく改善してくれるのがオーストリアで開発されている「Aqwality」だ。
アクアリウムの環境を守るスマートデバイス
AqwalityはAquaとQualityを合わせた造語であるが、その名の通り水質を自動的に検査し、わざわざ手動で検査せずともいつでも水槽の質を保全してくれるよう機能するデバイスだ。水質調査で必要な計測事項は多岐に渡っており、手動でそれらすべてを計測することは非常に手間もかかり、機器を揃えるのも時間がかかるものである。
Aqwalityはそういった手間を一挙に引き受け、アクアリウム愛好家たちが快適に趣味を楽しむために開発が進められている。
日本語には「水を得た魚」という言葉があり、これは自分にとって都合の良い環境で生き生きとしている様子を語ったものであるのだが、アクアリウムにおいてはただ魚に水を与えるだけでは都合の良い環境であるとは言えない。
魚にとって都合の良い水槽環境とは、水中酸素濃度や水素イオン濃度(ph濃度)など、水質に関わるあらゆる数値がその生き物にとって適正であることだ。これらデジタル化できる数値に一つでも以上があれば、その魚はいくら水中であるとは言え生き生きと過ごすことはできない。
実際のところ、水質を特殊な機器を使って計測せずとも魚の顔を見ることでその水槽の水の良し悪しというのはある程度判断することもできるのだが、その水の何がダメで魚が苦しいと感じているかは判断しかねるため、やはり詳細なデータを計測できる精密機器の存在は重要になってくる。
Aqwalityは水槽の水質調査に必要な機能を全て盛り込んで使用することが想定されているスマートデバイスで、酸素濃度やph濃度、水温はもちろんのこと、アンモニアや硝酸塩など、魚に害を与えかねない物質の見地も将来的には行えるようアップデートを重ねている。
酸素飽和度は35%~105%まで、ph濃度は6.0~9.0まで、水温は15度から~35度まで計測が可能であるなど、数値化が必要なパラメーターは十分にゆとりを持って計測できるよう構築されているところも安心だ。
これまでにないスマートな計測機器
Aqwalityが次世代の計測機器として優れている点の一つとして、IoTの昨日の搭載が予定されているところである。いわゆるスマート家電のように、自分のスマートフォンやPCからいつでもどこでもAqwalityが計測している数値を確認し、異常がないかを閲覧することができる。
仮に異常を検知した場合は目視でその数値を確認することもできるのだが、Aqwalityはあらかじめ設定しておけば異常な数値を検知した際にアラート機能や通知機能を用いて使用者にそのことを伝えてくれるよう開発が進められている。外出先とは言え、数値に異常が検知されたことをすぐに知ることができれば、改善に必要なものを外出先で購入してから帰宅するということも可能になったり、家にいる人へ連絡して面倒を見てもらうなどということもできるため、様々な対抗手段が打てるようになるだろう。
Aqwalityはすでにビジネスとしての販売計画も進んでおり、Aqwalityで用いられている技術は特許申請済みであるほか、いくつかのアクアリウム関連会社にはすでにコンタクトをとっている。Aqwalityが持つ特徴を有する機器は他になく、マーケットとしても可能性のある分野であることは確かであるが、開発チームはAqwalityをどこかの企業にライセンスごと売り渡すことは考えていないようだ。アクアリウムを快適な趣味となるよう開発したプロダクトであるからこそ、他のプロダクトへの転用を防ぐためである。
アクアリウム趣味は世界でもポピュラーな趣味の一つであり、その市場は日々拡大を続けている。Aqwalityはその分野での大きなシェアを目的としているのである。
Aqwalityは現在kickstarterで出資者を募っており、120ユーロ以上の出資でAqwalityを一台リワードとして受け取ることができる。プロ並みの計測機器を比較的安価に手に入れられるのもこのプロダクトのメリットと言えるだろう。
発送は2019年の3月を予定しており、開発・生産が完了次第発送が開始されるようだ。