スイマーによるスイマーのためのトラッキングデバイス「EDGE」

IoTのような最先端のテクノロジーの力が大きく活躍するのは、産業や私たちの生活に密着した部分はもちろんのことであるのだが、忘れてはならないのがスポーツにおけるテクノロジーの活躍である。

大学などの研究機関においてもスポーツサイエンスという分野があるように、スポーツはその時代のテクノロジーの集大成とも言えるほど技術発展の影響を受けやすい。現在は最先端の技術であってもすぐに民間で応用され、比較的リーズナブルな価格で最先端のスポーツサイエンスに多くのプレーヤーが触れることができるのである。

今回発表されている「EDGE」は世界中のあらゆるスイマーに向けて開発されたウェアラブルデバイスで、スイマー一人一人の目標に合わせた的確な計測とアドバイスを提供してくれる。


スイマーの為のデザインに基づき製作されたEDGE

EDGEは現役のスイマーが自身のニーズと照らし合わせて生まれたスイマーの為のデバイスで、装着者の水泳中における体の情報を計測し、泳法改善に向けたあらゆる情報を提供してくれる。水泳中の心拍数やより優れたストロークの方法、水泳のプロフェッショナルによる数千にも及ぶワークアウトプランなど、その小さな外観からは考えられない量の情報から装着者は専用コーチさながらのアドバイスによって有益なインフォメーションのみを受け取ることができる。

EDGEはウェアラブルデバイスとしては珍しく、頭な横に装着して使用するモデルである。スイマーであれば誰もが装着するゴーグルのゴム部分に通してEDGEは装着し、あらゆる情報をそこから収集してくれるのである。

スイマーによるスイマーのためのトラッキングデバイス「EDGE」


身体の健康に関わるウェアラブルデバイスであれば、従来はスマートウォッチのように腕に巻いたり、胸や腹部に装着するものが一般的であったのだが、スイマーにとってはそういったウェアラブルデバイスは適切とは言えない。

なぜなら彼らが泳ぐ時の服装からもわかるように、少しでも早いタイムや無駄のないストロークを実現するためには、水の抵抗を受けにくいスマートな格好をする必要があるため、ウェアラブルデバイスを手足や胴体に装着すると、水泳のパフォーマンスに悪い影響を与えてしまいかねないためだ。

そのためスイマーにとってのスマートデバイスとは自身の水泳に悪影響を与えないものであることが大前提であるのだが、EDGEの場合は頭にデバイスを装着することで解決を図った形になっている。よほど大きなデバイスでない限りは頭であれば影響は受けにくく、ゴーグルに付随的にデバイスを装着させるだけで済むため、水の抵抗や泳法に影響を与えてしまいかねない手足や胴回りの動作に支障をきたすこともない。

EDGEのデザインそのものもスイマーでなければ思いつかないニーズに基づいて作られていることが、このような装着方法から把握することができるだろう。

使用方法もいたってシンプルである。水泳前にゴーグルに装着し、電源を入れてあとは泳ぐだけだ。シンプルな形状だけでなく使い勝手もシンプルにすることで、余計なストレスを感じずにリラックスしてスイミングに取り組めることだろう。

スイマーによるスイマーのためのトラッキングデバイス「EDGE」


ひとしきりのスイミングを終えたら、EDGEで計測された評価を確認する必要がある。EDGEが集積したデータは専用のアプリケーションから確認することができるこのアプリはクラウドベースで各水泳データを蓄積することができ、提供されたアドバイスや泳ぎごとの心拍数やペース配分、体の使い方などを記録し、後からでも確認することができるようになっている。

専用のアプリケーションで素早く自己評価を

また、ユーザー一人一人でそれぞれが目標を設定することができ、共通の目標を持つ別のユーザーや友達とコンペティション形式で誰がどれだけ目標に近づいているのかを競うこともできる。スポーツの競技性をソーシャルネットワークのテクノロジーを用いてより高めることで、スポーツそのものへのモチベーションや競技人口の増加にもつなげることができるだろう。

また、アプリケーションに集められたデータはGoogle HealthやiOSのHealthkitとも互換性があるため、それらのアプリと同期させれば自身の健康管理にも役立てることができる。EDGEはプロのスポーツプレーヤーだけでなく、健康管理のためのスポーツとして水泳を楽しんでいるアマチュアや、ダイエットのために水泳を始めたというビギナーにとっても優れたスマートデバイスとなりそうだ。

EDGEは現在Indiegogoで出資者を募っており、4万ドルの資金調達を目標に設定している。EDGEは一台あたり199ドル以上の出資でリワードとして受け取ることができ、世界各国への発送にも対応している。無事資金調達に成功すれば2018年の11月より発送を開始するということなので、来年以降のシーズン時期や冬場の温水プールでの使用が期待できる製品だ。