スマートデバイスで買い物をよりシンプルに効率化「Planckly」

新しいものや欲しいものを探して回る実店舗でのショッピングは、その体験そのものは楽しいものであるが、面倒なのは会計をすませる時だ。

平日の昼間など、比較的人の少ない時間であればそこまでストレスの溜まるものではないのだが、夕方や休日のラッシュ時間帯におけるショッピングモールや大型スーパーマーケットは文字通り戦場のような有様だ。

無人レジの導入や支払い方法の簡便化など、最近でも様々な取り組みが行われているものの、レジスターの数が有限で、特定の場所へ行かなければお会計ができないというシステムが変化しなければ、ラッシュ時の混雑を解消することは難しいだろう。

そんな中今回開発された「Planckly」は、私たちのショッピングを大きく変えてくれるかもしれないプロダクトとなりそうだ。


レジを不要にさせるアプリケーション

Plancklyは、スマートデバイスを用いて会計を商品を手に取った時点で行ってしまうことを可能にするアプリケーションだ。正確には商品のバーコードを陳列棚などから読み取って会計をするという仕組みで、これを利用すれば購入者はレジへ行かずに商品を自分のバスケットに入れた後はそのまま店を出ることができてしまうというわけだ。

バーコードを読み取った後は購入する商品の個数をアプリ上から選択し、決済の処理を行うだけだ。お会計はすべての注文が終わった後にまとめて決済するシステムであるため、間違えてカゴに入れたものや必要のなくなったものはアプリ上で処理をキャンセルし、商品を陳列棚に戻すだけで完了となる。

また、買い物かごはユーザー間で連携させることもでき、家族での買い物を一つのカゴでまとめて行ってしまうことも可能だ。

例えば一人が食料品売り場で買い物をしている間、もう一人が洗剤や医薬品売り場に行き、それぞれがPlancklyを別々に使用していたとする。しかしユーザー同士であらかじめアプリを連動させておけば、お互いにカゴを共有し、商品情報をリンクさせて決済してしまうという効率の良いショッピングも可能になるのだ。

スマートデバイスで買い物をよりシンプルに効率化「Planckly」


それぞれの買い物が終わったら出入り口に集合すれば良いだけなので、家族で長いレジに並ぶ必要もなくなることだろう。ショッピングモールやデパート単位での導入が始まれば、いずれは店ごとではなくその建物単位での買い物が可能になり、決済の手間も一気に少なくなることは間違いない。

また、レジでの会計を消費者に委ねてしまうと窃盗の可能性も大きくなってしまうものだが、小型の店舗などではチェックアウト後に決済情報と実際に買ったもののつじつまが合うかどうかのセキュリティチェックを行うこともある。そのようなケースにもPlancklyは対応し、決済後にQRコードを表示し、セキュリティチェックを行いやすいように情報をすぐに表示できる機能が備わっている。

このアプリはカメラが備わっているスマートデバイスであればどれでも好きなものから使用することができる。私たちにとって最もポピュラーなデバイスはスマートフォンだが、iOSとAndroidの両方にPlancklyは対応しているため、誰でも気軽にダウンロードすることができる。

特にAndroidで動いている製品との親和性は高く、アンドロイド内蔵のスマートウォッチであればそれだけで買い物を済ませてしまうことも可能だ。

スマートデバイスで買い物をよりシンプルに効率化「Planckly」


Plancklyの開発チームはスマートウォッチにおけるPlancklyのユーザビリティ向上に力を入れており、現在は専用のスマートウォッチ開発にも大きな力を入れている。ハードウェアをPlancklyの使い勝手に対応させることで、よりショッピングを気軽なものにしたいというのが狙いだ。

徐々に開始しているテスト運用

Plancklyを実際に使用するためには、買い手だけでなく売り手のサポートも求められる。対応できる小売店は多岐にわたり、一般的なスーパーマーケットはもちろん靴屋やスポーツ用品店、八百屋に魚屋、交通機関のチケット売り場、コーヒーショップやファーストフードショップなど、あらゆる実店舗でこの機能を活用することができる。

すでにいくつかの国や地域ではPlancklyの導入が試験的に開始されており、それぞれ異なるアプローチでテストが行われている。

例えばドバイでは小さな食料品店で数ヶ月間のテスト運用が行われており、実際にアプリケーションを使用した売買がなされていた。

アメリカ内陸の都市であるシカゴでもテスト運用が実施され、チェーン展開しているファーストフードショップにおいて注文と支払いがアプリケーション上で行われた。

現在はシンガポールでの運用も検討されており、こちらではとある大型チェーンのスーパーマーケットがPlancklyに興味を示しており、大手PoSシステムのプロバイダーとの取引が成立すれば、まさに革新的な変化を小売市場に巻き起こせるとしている。

他にもイギリスやオーストラリア、バーレーンやサウジアラビアなどの中東地域、南アフリカなど、様々な国や地域での試験運用を検討しているとのことだ。

Plancklyは現在Kickstarterで出資者を募っており、4万ポンドを目標金額に設定している。リワードとしては専用スマートウォッチのプロトタイプなどが用意されており、実際にその使用感を出資者が体験できるという仕組みになっている。

また、小売店向けのリワードとしてアプリケーションを紹介する際の導入店舗としてプロモーションを行ってくれたり、無料で専用POSシステムの導入を行なってくれるなどの特典も用意されているのが特徴的だ。