電子工作になれ親しんだ人に送るIoTのRGBディスプレイ「PIXO Pixel」

専門知識としての電子工作はもちろん、今日では基本的なエンジニアリングやプログラミングの知識は字を書くことのように当たり前のものとなりつつある。

そのため最近では初学者向けの工作キットにとどまらず、中級者、あるいは上級者向けのキットで発展的な工作に取り組めるものも目立つようになってきた。

PIXO Pixelもまた初学者を脱出し、中級〜上級レベルの知識とスキルを身につけている人に向けてリリースを予定しているIoT対応のスマートディスプレイキットだ。

電子工作になれ親しんだ人に送るIoTのRGBディスプレイ「PIXO Pixel」


中級者以上を対象にしたIoTデバイス

このLEDを用いた16×16の正方形は、WiFiやBLEといった接続方法でネットワークに参加し、外部から好きなようにスマートデバイスとして様々な表現を行うことができる。BLEはBluetoothの能力の一部で、低電力での無線接続を可能にする技術のことを指している。

通信容量はWiFiなどに比べると小さくなってしまい、通信可能距離もそこまで長くはないものの、消費する電流は他の通信方法に比べて少なく、かつ通信開始までのレスポンスも早いことから、小型機器の無線接続手段として大きな注目を集めている。

身近な例で言えば、キーボードやマウスなどPCの周辺機器とは相性の良いサービスと言える。そのためPIXO Pixelに関してもPC周りの周辺機器として、大いに活躍されることが期待できる。

例えばアイコンを表示させることにより、そのアプリケーションの何らかの通知を行う外部通知機能として導入したり、ゲームのインターフェイスの表示やゲームそのもののプレイ、時間の表示、ニュースフィード、そして為替市場の相場などを延々と表示させるといった、モニターのアシストとして優れた機能を発揮できることが考えられる。

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システムの構築も比較的容易で、かつコストも安いことから、個人でDIYを行うぶんにはまさにうってつけのプロダクトと言えるだろう。

システム構築のためのプログラミングは Arduino IDE、あるいはMicroPythonで行うことが可能だが、一つ注意しておかなければならないのは初学者向けのキットのように、ユーザビリティに優れたガイダンスが存在していないことである。

このPIXO Pixelが上級者向けと言われるのはそういった理由で、主なターゲットが中級者以上に設定されているため、これまでプログラミングやエンジニアリングに触れてこなかった人がいきなり取り組むのにはややハードルが高いということは覚えておく必要があるだろう。

独自の「Make/100」プロジェクト
また、このプロジェクトは「Make/100」という企画の一環である点も注目だ。開発者はこれまでに似たようなプロジェクトをいくつか立ち上げてきたのだが、そのプロジェクトを通じた大きなコミュニティを形成するにはいかなかった。そこで今回のプロジェクトは「Make/100」という目標を掲げ、100人の出資者、つまり100人のPIXO Pixel所持者を獲得し、より多くの人で一つのコミュニティを形成していきたいという目標が設定されている。

もし実際に100人の所有者を生み出すことができれば、Youtubeでドキュメンタリーを製作し、PIXO Pixelの製作過程や購入してくれた人たちの紹介も行うなどの企画を考えているとのことで、一つのプロジェクトを通じたさらなる人の繋がりと、技術発展の可能性を秘めた企画となりそうだ。


DIYは確かに楽しいものではあるものの、一人では解決しきれないことや、黙々とした作業を続けていると誰かと価値を共有したいという寂しさにも悩まされてしまうものだ。PIXO Pixelはそのような趣味の輪をより大きくして行き、お互いに情報共有を円滑に行い楽しく開発できる環境を提供してくれるきっかけにもなるのだろう。

また、PIXO Pixelは完全なオープンソースのプロダクトでもある。必要な材料に特殊なものは存在せず、ニーズに応じてオンライン上で注文し、いくらでもカスタマイズさせていくことが可能になっている。

ボードファイルやデザインファイル、設計図に関しても同様で、全てオンライン上で入手することが可能だ。これによって所有者は既存の提供されている使用方法にとらわれず、思いついたアイデアをどんどん実装して行き、新しいプロダクトへと昇華させるようなことも容易に行うことができるだろう。

これらの情報については以下の公式サイトから確認することができる。

https://hackaday.io/project/34779-pixo-pixel

また、プログラミングだけでなくハードそのものの製作も自分で行いたい人に向けて、パーツごとにバラされた状態で送ってくれるプランも存在する。必要なものは全て同梱されているため、公式サイトにある組立方法を参照にしながら自分で組み上げてしまうことが可能だ。

電子工作になれ親しんだ人に送るIoTのRGBディスプレイ「PIXO Pixel」


PIXO Pixelは現在Kickstarterで出資者を募っており、6千カナダドルを目標金額に設定している。50ドル以上の出資でスターターキットを一つリワードとして受け取ることができ、185ドル以上の出資でMAKE/100プロジェクト仕様のスペシャルなパックが送られてくることになっている。

世界各国に送料無料で発送されることが予定されており、4月より順次カナダから送られる予定だ。