脳波とテクノロジーの組み合わせを無限に広げてくれるデバイス「Mr. ESP 1」
たとえ体に直接目に見えるような影響を与えずとも、自分がそう感じているということは体のどこかがその負担を被り、影響を及ぼしているものなのである。むしろ、目に見えてわかる症状が出てしまってからでは遅いこともあるだろう。
自分の体が今どう感じているのかをリアルタイムで可視化することができればそれほど便利なことはないが、「Mr. ESP 1」は脳波を読み取ることで、自分では気がつかない自分の考えや体調についてを読み取る手助けをしてくれるスマートデバイスだ。
脳波測定・可視化のためのMr. ESP 1
Mr. ESP 1はいわゆる脳波測定デバイスの一種である。脳波は脳が送受信する電気信号で、これを通じて脳細胞はお互いにコミュニケーションをとり、私たちの思考、あるいは身体の働きを司っているのだが、Mr. ESP 1はこれを外的に読み取るだけでなくシグナルとして可視化してくれるはたらきを持っている。
そして脳波はただのコミュニケーションのみならず、体の需要する刺激やストレス、痛みなどもシグナルとして送受信するため、脳波を読み取ることでそれを体が反応するよりも早く察知する子tができるのだ。
体に症状が現れるのは、そういった電気信号が体の各器官に伝えられることが原因で生じる反応だからなのだが、Mr. ESP 1は体の器官よりも早く、そして敏感に脳波を読み取ってくれるため、実際に症状として現れる前にストレスを察知してくれるのである。
Mr. ESP 1が読み取った脳波はbluetoothによって接続されているPCへとデータとして送信され、PCに蓄積される。そこから脳波を可視化することもできるし、蓄積したデータを様々な分野へ応用することもできる。医療分野で言えば、日々の脳波を記録しておくことで、何かしら身体に異常が見つかった時に医者にその脳波の記録を見せ、その時に病院で撮った脳波データと組み合わせることで、より具体的かつ的確な検査や治療が行えるようにもなるのである。
脳波や脳神経を測定するというと何やら物騒で危険なイメージを想起してしまいがちだが、Mr. ESP 1は体に無害となるよう設計されているため、誰でも気軽に利用することが可能だ。重さはわずか10グラムのこのデバイスは、長時間の装着も苦にならないデザインで、子供や妊娠中の人であっても問題はない。一回の充電で最大5時間の連続使用も可能なため、外出先で活用することもできるだろう。
オープンソースを生かした無限の可能性
そしてMr. ESP 1の最大の特徴は、オープンソースで開発が進められているため、誰でもMr. ESP 1を発展させて自由にその仕組みを応用させることができる点だ。脳波を読み取ることができるという特徴は、医療だけでなく多くの分野においてハイテクDIYを実現させるのに大きく役立つはずだ。
例えばマインドコントロールによる脳波レーシングカーの作成だ。
これまでのレーシングカーといえば無線によるラジコン操作やミニ四駆のようにコースをひたすら走らせることによる競争がベーシックであったが、Mr. ESP 1を使えば脳波によってレーシングカーをコントロールし、自由に走らせることができてしまうというわけだ。
ただ走れと念じるだけでなく、走れと念じることに意識を集中させる人ほどゴールが近づくというゲームは、これまでにないコンペティション性とエンターテイメント性を提供してくれるだろう。
あるいはプラズマボールと組み合わせることで、集中力向上やリラクゼーション効果を期待できる瞑想トレーニングツールにもなり得るだろう。脳波を可視化するとなるとこれまで一般的だったのはオシロスコープに現れるような線状のそれであったが、Mr. ESP 1とプラズマボールを接続することで、より立体的に装着者の脳波を可視化することができる。
使い方としては、プラズマボールを光らせることに意識を集中させることで、集中力向上、とリラックス効果を図るというものだ。無意識のうちに人は多くのことに意識を奪われてしまうものだが、Mr. ESP 1とプラズマボールで日常の多くのことは一度隅に置いておいて、ボールを光らせるということに集中し、頭をリフレッシュさせることで瞑想と同じリラクゼーション効果を得ることができるだろう。
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Mr. ESP 1は現在Kickstarterで出資を募っており、すでに目標金額の一万香港ドルを超えて7万3千ドル近い金額の調達に成功している。
Mr. ESP 1は一台あたり383香港ドル(約49米ドル)の出資で購入することができ、プラズマボールやマインドコントロールレーシングカーのバンドルパックも同様に別料金で購入することが可能だ。
DIYにそこまで詳しくなくとも、誰でも手軽に脳波によるテクノロジーが体感できるのは嬉しい特典である。
開発チームの目的は、脳波や脳の働きをより身近に体験できるようになることで、テクノロジーの発展と多くの人が自意識に注意を向けられるよう促進するというものだ。
脳波を測定し、コントロールする技術は最近活発化している分野だが、Mr. ESP 1は手軽に最先端技術を体感できる興味深いプロダクトとなりそうだ。