旅行の予約手数料を大幅削減、ブロックチェーン技術を活用した予約プラットフォーム『Concierge.io』
旅行業界では、例えばBooking.com, Expedia, Airbnbなどの中間業者が手数料を受け取ることで世界中の宿泊施設の仲介サービスをおこなっている。
これらの中間業者はひとつのプラットフォームを設立することによって宿泊施設の広告手数料を、利用者からは利用手数料を受け取ることができる。上記のサービスは予約を代行したり、利用者からの問い合わせ窓口となったりと様々な問い合わせに対応してくれるため双方にとって便利なサービスである。
宿泊施設・利用者双方からすればこの中間業者に支払う費用を抑えたいと思うこともあるだろうが、必要コストとして支払っているだろう。そのため大手の旅行予約サイトは旅行市場において大きな影響力を持っている。
しかし、この動きもブロックチェーン技術によって当たり前ではなくなってくるかもしれない。
ベトナムのスタートアップ企業、Concierge.io(コンシェルジュ)はブロックチェーン技術を活用して「旅行業界におけるP2Pサービスの展開」を実現させようとしている。
Concierge.io.io(コンシェルジュ.アイオー)とは?
Concierge.ioはブロックチェーン技術と「NEO」と呼ばれる暗号通貨によってP2Pサービスを可能にする。
https://www.youtube.com/watch?v=dSgiuQWsvYY
Concierge.ioによると、最大で取引価格の50%がサービスの提供者ではなく、中間業者に支払われる。このような従来の価値観を崩すべくConcierge.ioは開発された。
最大の特徴はサービスを提供する旅行会社や宿泊施設は0%の手数料で利用でき、Concierge.ioを通して予約をするユーザは仮想通貨によって代金を支払うことができることである。これにより、サービス提供者側も利用者側もより低い料金でサービスを提供/利用することができ、中間業者に高額な手数料を支払う必要がない。
サービス提供側と利用者側がConcierge.ioプラットフォームを用いることで直接つながることができる。
現在は開発段階でトークンセールがおこなわれているところだが、Concierge.ioのアプリとWebプラットフォームの特徴としては次のように紹介されている。
・シンプルでユーザフレンドリーなアプリケーションまたWebプラットフォーム
・予約確認はアプリを開いて3クリックで可能
・予約を簡単にするためのFacebookやGoogleを使った互換性のあるログイン
・高度なセキュア環境かつ暗号化環境
・ユーザ間のリアルタイム・インスタントメッセージ機能
・個人情報はネットワーク上に集積されない
https://www.Concierge.io/#about
NEOとは?
NEOは2016年に取引が開始された中国発の暗号通貨であり、Ethereumと特徴が似ていることから中国版Ethereumとも呼ばれる。
NEOの特徴を一言で表すと、「スマートエコノミー」の実現を目指している。資産のデジタル化+デジタルID+スマートコントラクトの融合だ。
セキュリティと透明性が高く、取引をおこなうのに最適である。
https://neo.org/
Concierge.ioでは当初プラットフォームで使用する暗号通貨としてEthereumの導入を検討していたようだが、スケーラビリティに疑問があったため導入には至らなかった。EthereumのTPS(Transaction Per Second: 1秒単位の処理件数)は15のため、旅行の予約といった多くの取引が予想されるプラットフォーム構築には向かないと判断したようだ。
NEOはEthereumに類似点がある一方でTPSは約1000で動作し、最適化がおこなわれると10,000の処理をおこなうことができる。
Concierge.ioでは、なぜブロックチェーン技術を用いるのか?
Concierge.ioのホワイトペーパーには、同社のプラットフォームがなぜブロックチェーン技術で構築されるのかという点について言及されている。以下では、要点のみ抜粋した。
https://www.Concierge.io/Concierge.io.io-Whitepaper.pdf
1.システム的な記録
Concierge.ioでの予約はNEOブロックチェーンに基づいて正しい手順で処理され、またそのプロセスの検証も可能。利用者は契約条件をブロックチェーンに記録しながら即時に支払いができる。
2. トランザクション手数料の削減
ブロックチェーンでは従来の取引手数料ではなく、1〜10%の範囲でフラット料金を設定可能。CGE※によってトランザクションコストが大幅に削減できる。
※CGEはConcierge.ioで使用される予定のトークンと支払い方法。このプラットフォームではVisaやマスターカードを経由して決済され、潜在的には他の暗号通貨での決済方式の採用も予定されている。
3.自動化された紛争解決
体系的な自律的紛争解決機能を組み込むことができる。
Concierge.ioのエコシステムにおいては、関係する当事者によって提供された証拠に基づきすべての標準的な紛争を処理する。例えば、滞在先のホテルで利用客が食中毒症状を引き起こした場合、医師から診断書が提出されれば払い戻しを受けるなどの処理方法である。すべてのケースが徹底的に評価され、常にチームによって監視される。
4.P2Pコミュニケーション
Concierge.ioはP2Pチャットを通じてベンダーと消費者の直接接続を組み込んだ最初の予約プラットフォームである。消費者がベンダーからの質問や、ロイヤルティ割引また取引について自由に質問することや回答を得ることが可能になる。
5. 安全かつ透明な取引
Concierge.ioプラットフォームはより公平な取引を提供しながらベンダーと消費者双方にとって完全に透過的になるように特別に設計されている。ベンダーと消費者のコスト削減を同時に実現させることができる。
Concierge.ioのサービス展開
Concierge.ioはまず南東アジア地域においてサービスを提供する予定のようだ。
アジア地域およびオーストラリアでは約16,000件のリゾートやツアー、ホテルが存在するため、ローンチ後はこれらの地域における旅行に関連するリスティングをおこなう予定だ。すでにベトナムのリゾート開発企業のFLC, ホテルグループのVinpearl, ツアーオペレータのAPT TravelとインドネシアのIndivillas.comとパートナー提携をしている。
まとめ
Concierge.ioがリリースされることによって、またConcierge.ioのプラットフォームが成功をおさめることにより、従来の旅行業界における中間業者の立場を脅かすことになるかもしれない。Concierge.ioの成功はすなわち中間業者が不在でも予約をスムーズに行うことができるということを意味するからである。これまで支払っていた高すぎる手数料を支払うベンダーや消費者は徐々にいなくなるだろう。
ブロックチェーン技術によって、旅行業界における予約の方法が変わろうとしている。