農業のハイテク化を促進してくれるデバイス「Luciscan」
作物や植物を効率よく育て、できる限り無駄のない仕組み作りや環境構築は、増加し続ける人口を支えるためには欠かせない取り組みではあるが、既存の技術や人間の能力では限界が見える部分もある。そういった問題に素早く対処するためには、常に最先端の技術を積極的に実践導入していく事が大切になるのである。
先端技術を応用した農業用デバイスは様々なものが発表されており、今回紹介する「Luciscan」もその一つである。
現代農業を支えてくれるLuciscan
現代の農業は、昔ながらの大規模農法以外にも、都市化の進む先進国を中心に様々な形式や手法が取り入れられるようになってきた。アーバン・アグリカルチャーのように都市部の微妙に生じている空きスペースをシェア農園にしてしまったり、LEDを用いた光源の導入、オートーメーション方式などは食べ物や医薬品、スパイスになる作物の育て方を、現在進行形で変化させ続けている画期的なシステムである。
だが逆にいえば、これは農業そのものが複雑にシステム化されたぶん、人間が管理するために新たな技術的な知識を獲得する必要を生み出しりするなど、これまで農業に従事していた人たちや新たに農業を始めたいと考える人たちにとって高いハードルを課してしまう結果も生み出している。
高度に管理された農業を成功させるためには、優れた先見性と、正しい決断を選ぶことのできる技量が要求されることとなっているのである。
Luciscanはいわゆる分光器の役割を果たしてくれるデバイスである。分光器とは光の波長を分析してくれる精密機器で、農業分野においてはLED照明の色温度計測に用いられ、作物の品質分析や農薬の残留分析に使われるなど、効率よく質の高い農作物の生産を行うためには欠かせないテクノロジーとなっている。
医療分野での活躍も見られる分光器だが、Luciscanはリーズナブルにそのようなハイテク技術を導入することを可能にしたプロダクトだ。
光量分析や光の透過性をチェックする事ができるだけでなく、LuciscanはGPSや追加の光源とともに自作農園の分析データをマッピングする事ができる。さらに植物の形式を実験的に記録し、正確なデータ収集を行う事が可能となっている。
農地における綿密なデータ収集は、農地のマネジメントだけでなく、Luciscan開発チームにとっても重要な価値を持つ。開発チームはLuciscanだけでなく、今後さらなるインフラの開発も構想しているのだが、彼らのプロダクトやサービスは既存の農業をさらに効率よく、最適な決定を促してくれるものとなるだろう。
植物は光に含まれる光子エネルギーを糧として成長し、遺伝的変化を生み出しているのだが、光のスペクトラムを追いかけることは現代の農業においては不可欠の作業となっている。
スペクトラムの微妙な違いは、もはや人間の目や感覚では捉える事ができず、特殊な精密機器の導入は欠かせない。しかしながらそういった特殊な精密機器の価格は相応に高値である事がほとんどで、一般的な農業従事者が常用的に使用することは非常に難しいものであったのである。
ハイテクを広く普及するために
Luciscanは一般層向けに生まれた製品で、利便性の高いBluetooth対応パッケージとしてリリースされるため、手持ちのスマートフォンと連動させて使用する事ができる。OSもiOSとAndroidの両方に対応しているため、機種で人を選んでしまうこともない。
にもかかわらず、内部の機能については産業レベルのハードウェアとソフトウェアで構成されているため、一般的な機器に性能で劣るということはない。テクノロジーは性能の向上だけでなく、高性能を安価で開発・生産することをも可能にしているのである。
Luciscanは現在Indiegogoで出資者を募っており、1万ドルを目標金額に設定している。149ドル以上の出資でLuciscanを一台入手する事ができ、発想は6月より随時行われる予定だ。
またLuciscan本体をリワードとして準備するだけでなく、Luciscanを用いた菜園システムをバンドルパックとして提供されている。価格は750ドルだが、4999ドルの出資で農園のコンサルティングもリワードとして受け取る事ができ、米国において本気で農園を始めたいと考えている人にはうってつけの品と言えるだろう。
常に最高性能を追い求めることはテクノロジーの進歩においては必要不可欠の取り組みであるが、同時に高性能の製品を安価に生産し、一般庶民に普及させる取り組みも同様に重要な地位を占めている。多くの人が優れたテクノロジーに触れる事で、世の中のハイテク化は進んでいくというものだ。