交通事故を激減させてくれるかもしれないHUD「Hudly」

自動車の交通事故の原因の一つとしてあげられるのが、わき見運転である。わき見運転にもそうなってしまう原因は様々存在するが、最近のケースだと大抵の場合はスマートフォンやカーナビを眺めていたことによる判断の遅れだ。

たとえメールや電話といった交通ルールに問題のある行為でなくとも、ナビゲーションを見ながら運転をする際には、フロントから一瞬目を離す「スキ」はどうしてもできてしまうものである。これは全てマップとフロントが別々になっているため起こりうるのだが、ヘッドアップディスプレイ、通称HUDシステムの導入は、こういったわき見運転のリスクを最小限にしてくれる効果が期待されている。


今回紹介する「Hudly」は、HUDの中でもリーズナブルで使い易いハードルの低さがポイントとなっている。

手軽に搭載できるHUDシステム

HUDというシステムそのものは少し前から軍事レベルではスタンダードになりつつある表示システムで、現役のジェット戦闘機などではすでに導入が進んでいる。フロントガラスに直接情報を映し出す仕組みは、よそ見によるスキやミスの発生を限りなく小さくしてくれるためだ。

Hudlyもまたそのようなシステムの一種と言えるが、大きな特徴の一つとしてHudlyは後付け機器であるという点だ。旅客機や戦闘機で導入されているHUDは備え付けのものである一方、Hudlyはすでに車を持っている人をターゲットに開発された製品であるため、購入者は自分の車を買い替える事なくHudlyを購入し、取り付けるだけで簡単に普段のドライブ生活を劇的に安全性を向上させる事ができる。

仕組みとしてはプロジェクターに近い機能を持ち合わせている。すでに持っているスマートフォンの映像をリアルタイムでフロントガラスに表示できるというもので、スマホとHudlyをワイヤレスでリンクさせる事で機能を発揮する。

交通事故を激減させてくれるかもしれないHUD「Hudly」


最近ではカーナビをわざわざ購入せずとも、スマートフォン向けのGoogle Mapなどのアプリケーションが高性能なナビゲーション機能を有しているため、そちらを参考にすることも多い。しかし専用のスタンドなどを購入しなければ不安定ないちにスマートフォンを設置することになり、運転に集中できず事故を誘発してしまうということもケースとして想定される。

Hudlyはいわばそのような既存のアプリケーションの利便性と安全性をさらに高めてくれるデバイスで、Hudlyそのものがナビ機能を持っているわけではない。しかし余計な機能をそぎ落とし、シンプルにスマートフォンの使い勝手を高めることに集中できたからこそリーズナブルな価格で一般人向けHUDをリリースする事ができたと言えるだろう。

HUDであることのメリット

HUDの最大のメリットは、ガラスに情報を投影する事で、よそ見を防ぎつつナビ情報とともにリアルタイムで目の前の運転に集中する事ができるという点だ。半透明で情報が投影されるため、ナビ情報が視界をさえぎることなく運転に集中する事ができる。

また、社外の環境にもHudlyは惑わされる事がない安定性を秘めている。例えば雨の日や曇りの日、夜間の運転など、晴れの日とは全く視界が変わってくるのだが、Hudlyはどのような天候や時間帯でも明瞭なディスプレイ環境を確保してくれる。光量自動調節機能を備えているため、運転手が手動で調節する必要もない。

Hudlyのディスプレイはリンク先のスマートフォンとのタイムラグがほとんどないため、余計なストレスを覚える必要もなく、スマートフォンに表示しているものであればなんでもHudlyでフロントガラスに投影させてしまう事ができるのも魅力の一つである。

例えば人を待っている間にYoutubeや各ストリーミングサービスで映像を楽しんだりといった具合だ。最近はスマートフォンも音声による操作がスムーズになってきたこともあり、スマートフォンに触れることなく全ての操作を行う事ができるというのも魅力であるが、Hudlyはその機能をも有効活用してくれるデバイスと言える。

もちろん走行中の視聴などは危険な行為であるため、いくらHUDとはいえ自主的に控える必要がある。カーナビとは違って、この辺りは自分で判断しなければいけないのはスマートフォンの使い方と同様だ。

Hudlyは取り付けが簡単であることも特徴の一つである。本体を車の電源に接続し、フロント部分に設置、あとはスマートフォンとリンクさせるだけで基本設定は完了だ。

現在は日本でもカーシェアリングのように車を持たない生活がトレンドになりつつあるが、Hudlyのような手軽に取り外しと設置ができるのは時代の流れに沿った理想的な機能である。カーナビのような据え置きのデバイスではなく、いつでもどこでも持っていけるシンプルで軽量のアイテムが現代人のニーズになりつつあるのである。

Hudlyは現在Kickstarterで出資を募っており、当初の目標金額であった5万ドルはすでに達成し、現在では22万ドル近い資金の調達に成功している。

199ドル以上の出資でHudly本体を一台リワードとして手に入れる事ができ、世界各国に発送対応しているため、興味のある方はサイトから購入してみるのも良いだろう。