インターネットを安全・便利に活用するためのルーター「Linxbox」
とはいえ特定の国の中ではwebページへのアクセスが検閲の対象となったり、常に自分のインターネット接続が監視されていたりすることもあるなど、必ずしもあらゆる場所で自由なインターネットを楽しむことができるとは限らない。
あるいは著作権などの問題で、海外で放送されているネット番組やラジオが日本では視聴することができないというケースや、無料で使用できる公衆WiFIはセキュリティ上の問題で第三者から盗み見られてしまう可能性も現に存在し、無料のWiFiに警鐘を鳴らす傾向も現れつつある。
WiFiの傍受に関しては何も公衆向けに限った問題ではないのだが、こういった問題に対処するために生まれたテクノロジーがVPNと呼ばれるもので、この少し複雑なセキュリティを簡単に実現してくれるのが「LinXbox」である。
VPN接続を可能にしてくれるLinXbox
VPNとはVirtual Private Networkの略称で、仮想のプライベートネットワークを構築することにより利用者に様々な恩恵を与えてくれるシステムである。VPNを介したインターネット通信はIPアドレスを第三者から秘匿し、通信そのものから個人を特定させないことが可能になる。
LinXboxの利用方法はいたって簡単である。Linxboxを使用するルーターに接続すれば、LinxboxはWi-Fiルーターとしての役割を果たしてくれるようになる。WiFiルーターとして機能する以上、LinXboxは一度接続すればあらゆるデバイスとネットワーク接続が可能で、PCやスマートフォン、ゲーム機など、すべてのインターネットを必要とする機器においてVPNネットワークが使用できるようになる。
LinxboxはIPを秘匿してくれるだけでなく、好みのネットワーク環境に応じたIPアドレスも与えてくれる。例えば日本からアメリカのネット番組を視聴したい場合、時としてアメリカのIPでしかアクセスできないものも存在するのだが、LinXboxを使用することでアメリカのIPアドレスでサイトに接続すれば、問題なくアメリカの番組を視聴することができる。
あるいは海外から日本のサイトにアクセスしたい場合でも、LinXboxが提供する日本のIPアドレスを使用することで問題なく日本のサイトを閲覧することができるようになる。
LinXboxの多機能性
LinXboxは他にもいくつかの機能を備えている。例えばHomeLinkerとしての機能で、これは遠く離れた場所にいながらも自宅のインターネット環境にアクセスすることができるというものだ。この機能に関しては現在開発中で、クラウドファンディングで目標金額を達成次第開発が始まるとのことだ。
あらかじめ求めているネットワーク環境が設定されているものを自宅外で使えることができれば、というニーズは決して少なくなく、自宅に限らず普段仕事に使用している職場のネットワーク環境を外出先から使うことを可能にすることにも応用できる。
Tor(トーア)ネットワークにアクセスできるのもLinXboxの機能の一つである。トーアはIPアドレスを相手や第三者に知られることなくインターネットやメールを利用できるシステムで、その暗号性の高さから様々な事情を抱えた利用者が存在する最大規模のネットワークだ。
その秘匿性の高さから時として犯罪に使用されることもあるTorは、さまざまな議論を呼びながらも今日までその正当性を保持してきており、LinXboxはそんなシークレットな環境の入り口としての役割も果たしてくれる。
LinXboxは現在Kickstarterで出資者を募っており、2万ノルウェークローネ(NOK)を目標金額としている(日本円にして28万3000円ほど)。
390クローネ以上の出資でテスターセットを受け取ることができ、600クローネ以上でLinXbox本体をリワードとして入手可能だ。発送は世界各国を対象としており、今年の5月から随時発想が開始される予定だ。