ドローンの水中撮影を可能にするガジェット「Drone Snorkl」

ここ最近は手軽に空撮を楽しめるということで話題を集めていたドローンだが、ドローンの魅力はあくまでも空中撮影にとどまっており、やはりドローンでも人間でも撮影が難しいシチュエーションは常に存在していた。

ドローンが苦手とする環境の中であげられるものの一つに、「水中」の存在がある。水中撮影は人間でも難しく、水の中での撮影は特殊な機材とスキルを要する仕事として扱われてきたが、やはり人間が撮影するのにも限界がある。

ロボットを送り込んで撮影するという手もあるが、そもそも水中カメラマンもロボットもコストの面では民間レベルで考えると現実的とは言えない。そこで活躍が期待できるのがこの「Drone Snorkl」だ。


人跡未踏の環境へ潜入できるガジェット

水の中でどのようなことが起きているのか想像したことがあるだろうか。地上から見えるくじらの背中の裏側はどうなっているのかや、普段見ることはできない野生のイルカの水中での戯れはどのようなものなのかなど、これまではテレビ番組や想像に任せるしかないものであることであふれている。

あるいは釣りの際など、魚の群れがいるかどうかを把握するためには熟練の釣り師でなければ分からない潮の流れなどを読む必要があるため、日がな一日釣り糸を垂らしていて一匹も釣れなかった、なんていうことも起こってしまうもので、釣りの前に水中を肴に気づかれることなく確認できればと思うことも少なくない。

そんな無茶なような願いすらも叶えてしまうのがこのガジェットで、ドローンに装着してこの中にGo Proなどのアクティブカメラを装備させることで、リアルタイムで水中の様子を確認しながら、それを記録することが可能になるのである。

ドローンの水中撮影を可能にするガジェット「Drone Snorkl」


カメラはSnorklの中に収まり、かつ重量に問題のないものであればどのようなカメラでも大丈だ。このサイズはたいていのアクティブカメラにも対応しているため、すでにGo Proなどを持っている場合には新たにカメラを購入する必要もない。

このガジェットを装着したことで、ドローンの操作方法が変わることもない。カメラを使用する際はいつも通りの操縦でドローンを飛ばし、最大で水面から約6メートルほど離れたところまで高度を維持しつつ、撮影を行うことができる。Drone Snorklを装着することで失われる操作性やドローンの安定性については今もなお改善が続けられており、少しでも装着による影響をゼロに近づけられるよう改良が加えられている。

ドローンならではのメリットについて

Drone Snorklのメリットは、人が撮影したい場所や自然から離れた場所でカメラを使うことができるという点だ。たとえベテランのダイバーであっても、従来は撮影のために人が被写体にある程度近づく必要があり、そのせいで水中の生物を驚かせたり、自然を傷つけたり、時として人間が危険な目に遭ってしまうということもあった。

しかしこの小型ドローンと小型水中撮影用ガジェットの組み合わせは、撮影の際の環境への影響を極限まで小さくすることができた発明であるとも言える。人が直接足を運ぶ必要がないため、人にとっても自然の生態系にとっても良好な関係を保ったまま、ドローンを通じで人は自然に近づくことができるからだ。

そうなると今度はガジェットそのものの耐久性や信頼性が気になるところではあるが、Drone Snorklはカーボンファイバーチューブでスタビライザーが、航空機用アルミニウムで本体内部が製造され、撮影用のガラス部分は防弾仕様のものが使われており、ドローンとSnorklをつなぐコードはパラコードが用いられているということで、その耐久力は軍用レベルに近いということがよくわかる。

Drone Snorklには二種類のモデルが存在している。一つはDrone Snorkl LIVEと呼ばれるもので、こちらはライブ撮影が行えるよう本体上部に加工を施しているものだ。もう一つがGo Pro撮影に特化したDrone Snorkl Go Proで、最新のGo Proの多くがこのタイプに対応している。

またオプションのアイテムとして、自前のドローンが水面へと安全に近づけるよう、カーボンファイバーで作られたランディングスキットもリリースが予定されている。Snorklをより深いところまで沈めて撮影したい場合、ドローンを水面に近いところまで高度を下げる必要があるが、その時に気をつけたいのが水中にドローンが引き込まれてしまう事故である。

あるいは何らかの事故やバッテリー切れによるドローンの落下が起こり得るが、そのようなアクシデントを防ぐためにもこのランディングスキットはきちんとドローンを水面に浮遊している状態を維持し、Drone Snorklと共に回収まで水上で待機させることができるようになるのだ。

Drone Snorklは現在Indiegogoで出資者を募っており、達成金額が500ドルと比較的少額のプロジェクトとして企画されている。Drone Snorkl本体は145ドルの出資で入手することができるほか、ランディングスキットが65ドルで販売され、ドローンを持っていないという人に向けてこのプロジェクトが推奨しているDJI Phantom3もセットになったバンドルパックが645ドルで用意されている。

アウトドアスポーツやマリンスポーツに勤しむ機会の多い方は、趣味の一環としてドローンと共に一台手元に置いておくのも良いのかもしれない。