IoTデバイスをもっと身近に体験できるために。
「AGILE」
AGILEが一台あれば、あらゆる端末の操作やクラウドデータを一元化して管理し、どこからでもそれらを操作することが可能になる。
汎用性の高さが伺えるAGILE
様々なデバイスやサービスを一括して管理するためには汎用性・共有性の高い能力を持っていることが不可欠だが、AGILEは完全なオープンソースであるためその心配もない。
加えて新しい機器を導入するときはいつも煩わしい初期設定がつきもので、日常の利便性よりもついつい初期設定の不便性に気を揉んでしまい、日常生活のハイテク化を後回しにしてしまいがちなのだが、AGILEはこの点もクリアしている。
AGILEは接続する各モジュール一つ一つに合わせて自動的に設定を行うため、人間が手動でいちいち数値をいじったりソフトをインストールする必要もない。所有者がやらなければならないのは、接続したいデバイスを選択するだけだ。接続デバイスの指定さえおこなえばあとはAGILEが自動的に必要なドライバのインストールと機器に合わせた設定を行ってくれるため、余計な手間を取ることなく生活のインターネット化を進めることができるのだ。
AGILEが優れているのはデバイス接続を一元化できるだけでなく、各デバイスのマルチコントロールも行えてしまう点だ。AGILEは一つのデバイスで各モジュールの状況を管理できるだけでなく、同時に複数のモジュールを操作することができるようデザインされている。ウェアラブルデバイスで自分の座標や健康状態を確認しながら空気の質や公害の状況の把握、家畜や農場を管理するためのドローンを手持ちのデバイスで操縦し、買い物の体験も向上させてしまうなど、接続を一元化することであらゆるタスクの実行も効率化できてしまうのだ。
ネットワークサービスを同時に接続させるためには本体の相性だけではなく、各モジュールが発している周波数や信号もマルチに対応できる必要があるものだが、AGILEは無線有線問わず様々なタイプの送信手段と親和性を持っているため、特定の機器に偏ることなく使いたいデバイスを自由に接続させることができるのも魅力の一つだろう。
AGILEは現在Kickstarterで出資者を募っており、出資やプランに応じて様々なバンドルパックをリワードとして用意されている。
一番スタンダードなものは93ユーロの出資で獲得できるAGILEシールドのみが送られるパックである。プランによってはLoRaWANモジュールやXBee 802.15.4モジュールが付属するバンドルパックや、ヘルスケアデバイスやフィットネス用デバイスの付属するバンドルパックも購入できるため、すぐにでもデバイスを接続させてみたいという人には最適のプランと言えるだろう。
AGILEの公式サイト(参照:http://agile-iot.eu/)ではより詳細な説明を受けることが可能で、パートナーシップの紹介や具体的なプレゼンテーション、機器の詳しい解説やブログが公開されている。
プロジェクトは2016年より開始し、これまでにいくつもの試作品を経て現在の形に至っている。今回公開されているものはほぼ最終形態ということで、この形を元にして量産が進められる予定だが、いくつかの修正点も現在は残されている。無事資金を集められた場合は2018年の2月ごろ随時完成品が発送されるとのことで、出資金は製品の生産と現在抱えている問題の修正のために用いられるということだ。生産の開始は問題の修正が完了してから進められ、すでに生産委託先も確保し、開発チームのバグフィックスを待つばかりという状況とのこと。
出資者の募集は2017年の12月までで、目標金額は2300ユーロに設定されている。精密機械にしては比較的少額の金額だが、すでに多くのパートナー企業を見つけていることが大きな支援となっているのだろう。完成品の発送は世界各国を予定しているとのことなので、興味のある方は支援して完成品を受け取ってみてはいかがだろうか。
IoTはまだあまり日本では普及していないテクノロジーではあるものの、AmazonやGoogleが続々とリリースしている音声認識デバイスの登場は、よりプロダクトをインターネット化させていく大きなきっかけとなることは確かだ。そのような時代に備えてAGILEのようなデバイス管理の一元化を促してくれる機器の存在は重要で、身の回りのインターネットをきちんと管理するためにも大切な役割を果たしてくれることだろう。