生体認証でよりセキュアな環境でデバイス利用 スウェーデン発Fingerprint Cards

スマートフォンや車のロック、ドアのロック解除に用いられる指紋認証技術はもはや珍しいものでもなくなった。 スウェーデンの企業、Fingerprint Cards ABは、ITと生体認証技術を組み合わせた技術を持っている。スマートフォンのロック解除やカードでの支払い、また現金引き出しなど多彩な使い方をすることができる。 以下ではFingerprint Cards ABの技術について詳しく説明していきたいと思う。

Fingerprint Cardsの技術-指紋認証と虹彩認証技術

Fingerprint Cards ( 画像出典:Fingerprint Cards )

Fingerprint Cardsの技術は、生体認証センサーとプロセッサー、アルゴリズム、別々にもしくは組み合わせて用いられるモジュールをから構成されている。
FPC Active IRIS Technologyは大衆市場に向けた消費者装置で、世界初の虹彩認識技術だ。高度な虹彩認識技術で、スピーディかつ信頼できる認証を行うことができる。

Fingerprint Cardsの具体的な例

Fingerprint Cardsの技術で具体的にどのようなことを行うことができるのだろうか。以下、Fingerprint Cardsでできることを機能別に紹介していきたい。

●FPC ONETOUCH
FPC ONETOUCHは指紋認証でスマートフォンのロックを解除する技術だ。スマートフォンのロック解除の際に力を入れることなくそっとタッチするだけで素早く認証を完了することができる。実質的に電力消費ゼロの設計となっており、バックグラウンドでも電力を消耗することがない。

●FPC SAFE TOUCH
FPC Safe Touchは支払いや企業のメール、個人情報やソーシャルネットワークといったアプリケーションに対してさらなるセキュリティを高める技術。インターネット上のなりすまし防止に効果がある。

●FPC MOVETOUCH
FPC MOVETOUCHはユーザーが直感的にスクロールやスワイプ、またタップの設定を行うことでショートカット操作を行うことができる。背面にセンサーをタップしたり長押ししたりすることによってあらかじめ設定されたショートカット操作を行うことが可能だ。ロング・クリックでギャラリーを開いたり、ダブルクリックでブラウザを開いたり、メールやリンクを開くように設定することができる。

●FPC 360°TOUCH
FPC FPC 360°TOUCHは指紋認証を行う際に360°どこからでも認証を行う技術だ。指紋認証において読み取りがうまくいかない場合、利用者が様々な角度で認証機器に読み取らせようとするが、このFPC FPC 360°TOUCHは圧倒的な正確さでどの角度でも指紋を読み込むことができるため、人がどのように機器に読み取らせるか四苦八苦しなくてもスムーズに読み取れる点が優れている。

●FPC QUICKTOUCH
FPC QUICKTOUCHは0.1秒以下でデバイスのロックを解除したり、アプリを開いたり、支払いの確認を行うことができる。カメラの素早い立ち上げにも適している。

●FPC EVOTOUCH
手の状態はいつも同じではない。指先に怪我をしたり、季節によって肌の状態も異なる。FPC EVOTOUCHは登録された指紋であればちょっとした変化も認識し、その違いを学習していく技術だ。

●FPC TOUCH'N'ROLL
FPC TOUCH'N'ROLLは新しいデバイスやアプリケーションを初めて利用する際にタップを何回か繰り返すことで認証をスムーズにする機能。

●FPC SENSETOUCH
FPC SenseTouchは、センサーを押す程度によって異なるアクティビティを実行する技術だ。軽いタッチや強いタッチを行うことで設定したアクティビティを行うことができる。

生体認証でカード決済も安心

生体認証でカード決済も安心 ( 画像出典:Fingerprint Cards )

Fingerprints Cardsではカードに認証チップを埋め込むことにより、今まで以上に快適な買い物体験をすることができる。機器にカードをかざすだけで決済が完了するため、スキミングのような被害を減らすことができる。

・韓国のフィンテック企業コナ・イの例
2017年6月にFingerprint Cardsと韓国のフィンテック企業のコナ・イとの間でパートナーシップを結ぶ決定をしたことが明らかになった。

( 参考:Fingerprint Cardsニュースリリース
https://www.fingerprints.com/showcase/kona-i-smart-card/ )

Fingerprint Cardsの技術ではカードに生体認証チップを埋め込むことによって簡単に、かつ安心して支払いを行うことができる。従来のクレジットカードのようにスキャンする必要もなければ、PINを打つ必要もない。ただ機器にかざすだけで決済が完了する。

ATMからの現金の引き出しも同じで、カードをかざすだけで引き出しを行うことが可能だ。この方法であれば、スキミング被害に遭うこともない。

●世界初の生体認証機能搭載のカードによる支払い、Zwipeの例
こちらはFingerprintの技術ではないが、ノルウェーのZwipeという企業は世界初の生体認証チップが搭載されたクレジットカードを発表している。Fingerprint Cardsより先に生体認証搭載のクレジットカードを実用化した。MasterCardと提携しており、カード内部に搭載された指紋認証装置に指紋を読み取らせることによって、機器にかざすだけで支払いを行うことができる。カードに内蔵されているチップはバッテリーがなくても読み取りが可能である。指紋認証された本人しかクレジットカードを使うことができないため、盗難や紛失にあった場合に金銭が引き出される可能性が極めて低い。

( 参考:Zwipe公式ホームページ
http://zwipe.com/ )
( 参考:DailyMail Online, Zwipe Mastercard - fingerprint authenticated payment )
( 参考:payment navi、指紋認証を利用して非接触決済が可能になるズワイプ社の技術とは?
http://www.paymentnavi.com/paymentnews/58195.html )

●ブロックチェーン用デバイスBitVaultにセキュリティ効果の高い虹彩認証と指紋認証を搭載
ロンドンで最近ローンチされた世界初のブロックチェーン用スマートフォンのBitVaultには、FingerprintsのActiveIRISと指紋タッチセンサーのFPC1028が搭載されている。虹彩認証と指紋認証機能を備えているため、ビットコイン取引のためのデバイスとして市場に出回っている中でも特にセキュリティ対策の高いデバイスである。

これにより、メッセージの送信や入出金、電話や書類の送付、メディアの保管先としてセキュアな通信環境で様々な機能を利用することができる。

まとめ

生体認証を用いた識別はその便利さから非常に魅力的な技術である。簡単な操作でこれまでの面倒な本人確認プロセスを経ることなくデバイスのロックを解除したり、カードを使うときに暗証番号を打つことなく支払いを行うことができる。スマートフォンの本人確認も生体認証によって行うことでよりセキュアな環境で利用することができる。

しかし、生体認証の問題点としては指紋や虹彩による認識を必要とするという特性上「人」が鍵になるため、一度生体情報が抜き取られてしまえばこれをコピーされることでセキュリティもザルになってしまう。また誘拐や人質に取られれば、強引に指や目を機器に近づけさせられることでロックが解除されてしまうため、いくらセキュリティが高くても意味がないとも言える。このような生体認証の問題点が解決されれば、生体認証技術を搭載したデバイスはより普及していくことであろう。