Amazon Alexaを車の中まで持ち込もう。「Muse」

Amazonが今年リリースしたAIアシスタント、Alexaはその汎用性から世界中の人々を驚かせた。Amazon EchoもまたそんなAlexa搭載のスマートスピーカーとして大きな話題となったが、MuseはAmazon Echoを車内にもち込まずともAlexaをフル活用するためのBluetoothスピーカーだ。

Alexaの可能性を引き出すMuse

Alexaの可能性を引き出すMuse

Museの使い方は実にシンプルだ。電源を入れ、手持ちのスマートフォンとペアリングすればいつでもAlexaを起動することができる。起動ももちろんシンプルで、「Alexa」と呼びかけるだけで可能だ。

スマートスピーカーや音声認識AIアシスタントは、日常生活ではあまりその有用性を実感することはできないが、車の運転中のように身体にある程度制限がかかっている状態で真価を発揮する。なぜなら普段はスマートフォンやPCを直接手でいじれば解決できる問題を、運転中は手と足がふさがっているために行えないためだ。

たとえ可能であっても事故のリスクや能率の低さから決してお勧めできるものではないものであるが、手足がふさがっている時に役に立つのが声の存在である。Alexaを車内に持ち込むことで、カーナビを声だけで起動し目的地を設定したり、音楽を再生したり、グーグルを使って調べ物をすることもできるようになる。

もちろん誰かとの通話も手を塞がずに行うことができるし、音声でメモを取ることだってできるようになる。手足が使えるからこそありがたみのわからない日常的な動作が、Alexaを使いこなすことにより、車のように制限された空間では想像もできないほど、これまでのドライブを快適にしてくれるポテンシャルを生かすことができると言えるだろう。


AIアシスタントだからこそできること

Alexaが人間ではなく実態を持たないAIアシスタントだからこそ備えているメリットも自動車に適した能力であると言える。例えばスマートフォンを代わりに開いてもらう場合には、人間の場合持ち主が直接パスワードを入力するか、何らかの認証を解除する必要があるが、Alexaの場合はその手間も不要になる。Alexaを呼び出せば、あとはスマートフォンを用いて直接持ち主が望むようにアシスタント業務をこなしてくれる。

加えてAlexaが処理できる業務の数も人間のそれをはるかに超えている。音声による命令によって、Alexaはおよそ25,000件以上のケースに対応することができるのである。命令の内容は上に挙げたような一般的なアシスト業務から、amazonでの注文や駐車場のドアのガレージの開閉など、IoT技術もフル活用して生活の全ての行動をAlexaに任せてしまうことができるのだ。

Alexa

AlexaはAmazonオリジナルのAIであることもあって、Amazon系列のサービスとも互換性が高い。Amazonのアカウントを持っていればAmazon Musicは通常プラント同価格で利用できるし、データプランも使用しているスマートフォンに準拠したものであるため、Amazonの得意とする分野であるリーズナブルさを損なうようなこともない。Amazon以外でストリーミングサービスを利用しているという人でも、Spotifyをはじめとした外部サービスも随時Alexaに対応していくということだ。もちろんこのアップデートのために追加料金を払う心配もない。

Museは小型のデバイスで、その他の同梱物もいたってシンプルにまとめられている。Muse本体と車の中で充電できるUSBチャージャー、そしてエアコンなどに取り付けられるマウント用のクリップとケーブルだ。狭く様々なアイテムでごちゃごちゃしてしまいがちな車の運転席付近だが、AlexaとMuse、そしてスマートフォンさえあればたいていの作業が行えてしまうことから、こういった座席周りの煩雑さも解決されることができるだろう。もうオーディオのためにCDやMP3プレーヤーを車に積み込む必要もなければ、地図やその他のアシストグッズも必要ない。ただし充電切れには対応できるよう、付属のチャージャーは備えておくことを勧める。これ一台あればMuseとスマートフォンの両方を充電できるようになるからだ。

Museは音声認識デバイスである以上、いつでも声を認識するし、必要があれば自発的に音声でユーザーに呼びかける。しかしユーザーにとって音声を発したくないシーンは存在するものであるため、Muse本体にはワンタッチで音声をミュートにできる機能も備わっている。これはAlexaではなくMuse本体に直接作用するハードウェア用の機能であるため、間違いなくミュート機能を作動させることができるのは頼もしい。いわばAlexaに耳栓をしてしまう役割も果たしてくれる。

Museは音声認識デバイス


Museの公式テストセッション動画もすでに公開されている。こちらを見ればAlexaの驚くべき能性の片鱗を確認することができるとともに、Museの利便性の高さもうかがい知ることができるだろう。


Museは現在Indiegogoで出資者を募っており、目標金額は1万ドルだ。しかしこの金額はすでに達成しており、現在はその金額の6倍に迫る5万7千ドルもの資金が集まっている。Alexaの可能性に期待が集まっていると同時に、車内でのライフスタイルの革新に多くの期待を寄せている人の多さを確認するのにも良い数字であると言えるだろう。

無事出資を終え、生産段階に入ることができれば12月には随時発送できるとのことだ。Muse一台あたりで40ドルというリーズナブルさも人気のポイントであると言えるだろう。
出典:https://www.indiegogo.com/projects/muse-alexa-voice-assistant-for-cars-car#/