素早く力強く、そして正確な
ロボットアーム「Dorna」
Dornaは産業用に限らず、その汎用性を活かして私たちの普段の生活のタスクをも自動化してくれる可能性を持っているようだ。
家庭でも使える汎用性の高いロボットアーム
これまでのロボットアーム、特に大手企業向けに作られているような高性能のロボットアームの問題は、とにかくそのコストが高いことであった。いくらロボットアームの普及が進んでいるとはいえその繊細な技術に払わなければいけないコストは一般家庭に流用するにはあまりに高く、家庭にはあまり普及しないテクノロジーであったことは確かだろう。
しかしDornaはこの既存の高性能ロボットアームの抱えるコスト面での問題に真正面から取り組んだ。Dornaのフルメタルボディは素早い動作においても正確性と力強さを失わないパフォーマンスを実現してくれている。Dornaによって組み上げられた正確な機械的工程は、狂いのない生産技術をもたらしてくれる。さらにマイクロコントローラーとファームウェアが合わされば、より複雑な多軸稼働によるパフォーマンスも見せてくれるようになる。
使い勝手の良いロボットアームを実現するためには様々な用途に柔軟な対応を示す性能が欠かせないところだが、Dornaは自在に取り扱うツールを変更できるようデザインされている。というのも使用するツールのソースを選ばないというところが最大のポイントで、Dornaが何らかの役割を果たすために新たに専用のツールを用意しなくても良いというのは大きな特徴だろう。
Dornaのアーム先端部分はフレキシブルな対応が可能で、一般的な家庭でよく使われるツールのほとんどはDornaにもたせてしまうことができる。エンジニアでもシンプルに理解できるインターフェイスのアダプターをデザインしたことで、素早くかつしっかりとツールをホールドできるロボットアームに仕上がっているのだ。
独自に用意されたオープンソースのソフトウェアである「Dorna Lab」も魅力的だ。Dorna LabはDorna本体をコントロールするためのライブラリとしての役割を果たし、Mac、Win、そしてLinuxといったポピュラーなOSに対応している。Dorna LabはGUIベースのソフトウェアで、Dornaを操作する際にはスクリプトとコマンドラインを用いるオプションも用意されている。
Dorna LabはPythonを用いて開発されており、完全なスタンドアローンのアプリケーションとして、あるいは他のアプリケーションのライブラリとしても取り扱うことができる。加えて搭載されているグラフィックシミュレーターは、実際にDornaを動かす前に組み上げたスクリプトを視覚化し、評価するための手助けとなってくれるはずだ。
Dornaの活用例
ここでいくつかDornaが実際に扱われている例をいくつか紹介する。例えば下の動画のようなペンによるライティングの技術だ。あらかじめにデータを入力しておけば、正確無比なペン使いを見せてくれる。
あるいはカメラマンとしての役割を果たすこともできる。正確な動作とフルメタルによる頑強性を活用すれば、あらゆる環境にもぶれなく対応できる優秀なカメラマンとしての役割を果たすことも難しくはない。
使いようによっては、アシスタントシェフもDornaは担うことができる。ロボットに料理をさせるのはあまり想像がつかないかもしれないが、例えば動画にあるような野菜を切る工程のように、料理の中でも単調で疲れやすい作業はDornaが担うことができる部分でもある。他にも鍋をかき混ぜたりおろし器を使ったすりおろしなど、手間のかかる動作をDornaに任せてしまうのは十分に可能だ。動画ではややぎこちないサラダの調理過程が紹介されているが、無理に料理を一品作らせる必要はない。あくまでもサポートに回らせるだけで作業の効率化をはかることができるのである。
単調な作業だけではなく、Dornaには様々なモノの存在を教えることも可能だ。オープンソースのライブラリを用いることで、Dornaは学習機能を備えるようになる。Dornaに知識を与えることで、よりそのポテンシャルを広げてやることもできるのだ。
DornaはKickstarterで出資を募っており、現在は890ドルの出資で一台のDornaを入手することができる。この価格はロボットアームの中ではリーズナブルな方で、他のポピュラーなロボットアームであれば1000ドルを超えることも珍しくはない。加えて1000ドルを超えるようなロボットアームよりも高いパフォーマンスを発揮するということであるから、Dornaの実現しているスペックがいかに次世代的であるかを実感することができる。
Dornaは7万ドルの出資を目標に勧められているプロジェクトで、うまく資金が集まれば2018年の6月には随時出資者へのプロダクトの発想が行われる予定だ。