そんな中、日本政府は、2020年東京五輪・パラリンピックを控え、日本を狙ったサイバー攻撃へのリスクが高まることを勘案し、国内の企業に対し、攻撃に緊急対応する専門チーム・CSIRT(シーサート)設置などを求める方針を「サイバーセキュリティ経営ガイドライン(指針)」に盛り込むことを決定し、2016年度から本格的な運用を開始する。大企業であっても自社の情報セキュリティ対策には消極的な経営者が多いことが、今回の政府の方針の背景にある。
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サイバーセキュリティイニシアティブ2016は、サイバーセキュリティ月間中の3月18日、東京・品川インターシティホールにて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)との共催、また経済産業省、サイバー戦略本部ほか10関連団体の後援のもと、開催された。今回のシンポジウムでは、「サイバーセキュリティ対策をビジネスの中核に」をテーマに、国内のICT環境の劇的な変化によってさらに増加が予想されるサイバー攻撃への対応、企業経営におけるサイバーセキュリティ対策のあり方、情報セキュリティのリーダーおよび専門スタッフの育成について、国内外の情報セキュリティの専門家が熱い議論を展開した。
今回の特別講演では「サイバー空間をめぐる状況とサイバーセキュリティ戦略」をテーマに、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の三角育生内閣参事官と、NATO Cooperative Cyber Defence Centre of Excellenceのシニアフェローで、 エストニア共和国のサイバーディフェンスユニットの副司令官であるJaan Priisalu氏が講演し、我が国とICT先進国エストニアのサイバーセキュリティの現状と未来を語ってもらった。
第2部では、「情報セキュリティマネジメント人材の育成・確保に向けて」と題して経産省の小池雅行地域情報化人材育成室長が講演、その後サイバー攻撃の脅威に対する最先端対策とポイントについて、NECサイバーセキュリティ本部の後藤淳シニアエキスパートによるプレミアムプレゼンテーションが行われた。
パネルディスカッションでは、IPAの立石譲二技術本部長がモデレータとなり、三角氏、Jaan Priisalu氏に東京電気大の佐々木良一教授(内閣官房サイバーセキュリティ補佐官)が加わり、「ビジネスプロセスとしてのサイバーセキュリティ対策とリーダーシップ」について、議論が交わされた。サイバーセキュリティ基本法改正案や年金機構のサイバー攻撃の解説、マイナンバー制やIoT時代におけるセキュリティ対策などについて議論が及んだ。攻撃を受けた後の緊急対応対策や経営者のリスクに対する意識の増進、現場と経営者を繋ぐ人材育成などの課題が明らかにされた。
特別講演・パネルディスカッション ※ 2016年3月時の肩書きとなります。
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エストニア共和国のサイバーディフェンスユニットの副司令官であるJaan Priisalu氏を招聘、同氏が手掛けたICT先進国のサイバーセキュリティの現状と未来を語ってもらった。
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税理士法人 あすなろ 税理士、菅沼 俊広 氏、富士ゼロックス 総務部リスクマネジメントグループ グループ長 神林 彰 氏、 IPA田中久也理事による「情報セキュリティ人材育成について」トークセッション