全ての3Dプリンターユーザーのために生まれた
Wi-Fiモジュール「3D WiFi module」
にもかかわらず、今やこの3Dプリンティングは実践的に使われているのみならず、そのプリント精度を日に日に高めていくとともに、一般家庭でも使えるよう価格は徐々に低く、そしてプリンターのサイズもより小さくなってきている。
3Dプリンタをより身近にしてくれるアイテム
まだまだ紙に印刷する従来の2Dプリンターほどの普及率は見られないが、「3D WiFi module」はそんな3Dプリンターの使い勝手を向上させ、より3Dプリンターを我々にとってフレンドリーな存在へと昇華させてくれる可能性を秘めていると言えるだろう。
今回開発されたこの親指ほどのサイズしかないモジュールは、3Dプリンタと手持ちのデバイスをWi-Fi経由で接続し、プリンターを直接コントロールすることを可能にするというものだ。普段使っているスマートフォンやタブレットから自在に操ることができれば、少し特別な存在であったかもしれない3Dプリンターをより身近に体感することができ、3Dプリントは一般人にとっても現実的な存在となりうるのである。
加えて3D WiFi moduleにはすでにデフォルトの3Dモデルのデータが内蔵されているため、モジュールを手に入れてすぐに印刷へと移ることもできる。これまでは手持ちの3Dデータがなければせっかくのテクノロジーを生かすこともできず、3Dモデリングのできない初心者には敷居の高さの要因の一つにもなっていたものだが、あらかじめデータを用意してもらえれば、モデリングの知識がなくとも簡単に3Dプリンタを楽しめるという仕組みだ。
コンパクトでスマートなデザインの通り、使い方も簡単だ。準備が必要なのは3Dプリンタとスマートデバイス、そして3D WiFi moduleの三つで、プリンターにモジュールをUSB経由で接続し、専用アプリである「EasyPrint 3D」をダウンロードして簡単な初期設定を行えばすぐにプリントアウト可能だ。プリントアウトもデフォルトの3Dモデルを選んでスタートさせるだけなので、至極簡単なスワイプ操作のみで好みの立体物を生成することができてしまう。
3D WiFi moduleの対応する3Dプリンターの数も豊富である。現在は用途や目的に応じて様々な企業から多くの3Dプリンターがリリースされているため、ひとえに3Dプリンターといっても互換性がないということも外部接続の場合はあり得ることだ。しかしこのモジュールは私たちのスマートフォンやタブレットと数ある3Dプリンターとの互換性を可能な限り高めるためにデザインされていることもあり、ポピュラーなものをはじめとするたいていのプリンターは問題なく接続することができる。
現在はプロトタイプということもあり全ての3Dプリンターと接続できるとは断言していないものの、鋭意テスト中ということでいずれはさらに多くのプリンターに対応できるようになることだろう。
クラウドサービスを活用した3Dモデル共有コミュニティも魅力
また、3D WiFi moduleはクラウドベースで動作する端末でもある。クラウドコンピューティング技術もまた現代のインターネットには必要不可欠なサービスのあり方の一つだが、このモジュールにおけるクラウドはいわゆるストレージタイプのサービスで、運営者のサーバーに直接アクセスできることでモジュール利用者は世界中のユーザーと手持ちの3Dモデルをサーバー経由で保存・共有し、お互いに好みのモデルを手持ちのプリンターで印刷できるというものだ。
これまで立体的なモノのやり取りは運送会社を用いる必要があったのだが、3Dプリンターとクラウドサービスの連携はそういった物質のやり取りをも簡略化し、スムースにすることを可能にしていくれる。3D Wifi moduleはそういったスマートなテクノロジーをさらにシンプルに使い勝手をよくするためのアイテムであるとも言えるだろう。
あるいはこういったクラウドサービスを用いることで、実際に立体作品を損傷なく相手に届けることができれば芸術のあり方やビジネスにも大きな影響を与えることになるかもしれない。製作者はわざわざサンプルの品を厳重に梱包して相手に送らずとも、データを送信するだけで相手は勝手に実物をプリントアウトしてくれるようになるからである。
あらかじめ3Dモデルを使わなくとも、アプリケーションを利用することでリアルタイムに3Dプリンターを操作し、自由に立体物を生成することもできる。生成するX・Y・Z軸の指定や温度、ファンの強さなど、リモートコントロール機能を用いることで自由に作品を作り出してしまうことも可能だ。
3D WiFi moduleは現在Indiegogoで出資を募っており、一台あたり29ドルで出資者は実物を程入れることができる。3Dプリンタはまだまだ高価な危機かもしれないが、このモジュールのように安価なパーソナルアイテムが普及すれば、数の少ない3Dプリンタをお互いにシェアしながら自由に使うことも可能になるだろう。