離れた場所から安否確認できる「Welbi」
電波で心拍数など確認
自然災害が起こった場合の安否も心配になる。生存していたとしても緊急事態で連絡がとれない場合だと、確認できるまで不安な時間が続いてしまう。今回紹介する「Welbi」は、遠くにいる人の健康状態を見守りたい人にぴったりの製品だ。
遠く離れた人の安否確認ができる「Welbi」
「Welbi」は電波で心拍数など見守りたい人の健康状態をデータ化するモニターで、遠くにいる人はアプリをとおしてデータを閲覧できる。見守りたい人にApple Watchといったウェアラブルデバイスを装着してもらうといったケースも多いが、お年寄りは新しいデバイスに詳しくない人もいる。そういったシチュエーションを想定して、Welbiは部屋に置いておけば部屋にいる人のデータを取得するルームスケール型デバイスになっている。置いておけばデータがアプリに送られるので見守りたい人が毎日装着するといった手間を省くことが可能だ。
Welbiは現在、Kickstarterでプロジェクトを立ち上げて出資を募っている。目標金額は150,000ドル(約1,636万円)で、プロジェクトの終了予定は2017年10月5日だ。希望小売価格は299ドル(約3.2万円)を予定しているとのことだが、199ドル(約2.1万円)を支援するとWelbi本体やTシャツなどが入ったセットが贈られる。
電波で人の状態を感知するモニター
Welbiモニターの電送器が電波を放ち、人の肌から跳ね返った電波のパターンから健康状態を分析・記録する。NASAのジェット推進研究所で使用されている高度なレーダーを採用することで、全身のわずかな動きを感じ取って測定できる。高度なアルゴリズムが段階的な変動を検出するので、より正確なデータを送信することに役立っているとのことだ。モニターは部屋にいる人の健康状態を監視するもので、モニターを置いている部屋のみ監視できる。モニターの設置していない部屋は監視できないことに注意したい。将来的には他の部屋も監視できるようにしたいとのことだが、現時点では見守りたい人がよく利用する部屋に設置するという対処が必要だ。
モニターの周波数は3GHsの超広帯域無線で、寸法は3.35×6インチ。重量は150gと携帯電話ほどの重さだ。消費電力は6ワットで、データの送信方法はWiFiを通してクラウド上で行う。アプリにデータが転送されるので、データ転送のためにモニターをいじる必要はない。今後アップデートが行われる際は、モニターをMicroUSBにつないでアップデートを行うとのことだ。
Welbiはもともと、NASAのジェット推進研究所で開発されていた「FINDER」と呼ばれる設備だった。当初はスーツケースほどのサイズで、災害救助のためのデバイスだったという。Welbiとして製品化するにあたり、本体サイズの縮小とヘルスケア業界向けに技術を追加するという課題があった。そこでメディカルデバイスを制作した実績を持つデベロッパーが参加して、ヘルスケア業界に最適な製品にするための開発を行っている。本体サイズはどんどん縮小していき、3回目の改良で現在のデザインに到達したという。スーツケースほどの大きさからiPhone6ほどの大きさへ縮小することに成功した。
このモニターは電波で人の状態を感知するため、見守られる側の人の体に機械を装着しなくて良いというメリットがある。腕に装着するだけのスマートデバイス以外にも、人の健康状態を確認するため身体に取り付ける大がかりな機器も存在する。こういった機器は利用者の生活習慣を変えて大きなストレスを与えかねない。Welbiは身体に取り付けるものが必要ないので、大切な人にいつも通りの生活を送ってもらいながら、健康状態を確認できるストレスフリーな製品だ。
大事な人を見守るアプリ
見守りたい人のデータはモニターからアプリに転送される。アプリはクラウドをベースにしていてリアルタイムで情報が更新されるので、見守りたい人の現在の状態を確認可能だ。心拍数や呼吸数、心拍数の変動といったデータが確認でき、各データは時間別に閲覧できたり、複数の人のデータを記録したりといった機能を備えている。データから異常が確認できればすぐ本人に電話するか係りつけの医師に連絡するなど対応ができるので、万が一の場合を防ぐことに貢献する。見守りたい相手はお年寄りだけではなく持病を抱える人、体が弱い人、遠方に1人で暮らしているため心配な人など、様々な人に使用できるのが利点だ。
様々な場所で仕事ができるようになった現代人は、家族がバラバラになって生活するということも少なくない。すぐに駆け付けられる距離でない場合、遠くにいる人を見守れるWelbiといった製品があれば心強い。国内の離れた場所でも海外からでも相手も健康状態が確認できるので、緊急事態はすぐに対応できることがWelbiのメリットだ。