車用IoTプラットフォーム
『AutoPi』で車の機能を拡張

ガスコンロや照明、コーヒーメーカーと日常生活で使用するものがインターネットにつながる中で、生活に欠かせない車はどうだろうか。


通勤や子供の送り迎えとほとんどの家庭で必要になる車でIoTの機能を使えるとしたら、消費者の生活を豊かにすることに大きく貢献するだろう。今回紹介するのは、車をインターネットとつないで機能を拡張する「AutoPi」だ。


車にIoTプラットフォームを実現する「AutoPi」

車用IoTプラットフォーム『AutoPi』で車の機能を拡張

AutoPiは自身が所有する車にIoTプラットフォームを実現して、車の機能を拡張する製品だ。AutoPiは大きく分けて「AutoPi Dongle」と「AutoPi Cloud」という2つの要素を使ってIoTプラットフォームを実現する。AutoPi Dongleは車に取り付けることでインターネットとの接続を可能にする装置で、AutoPi CloudはAutoPi Dongleをつないだ車をコントロールするクラウド型のプラットフォーム。この2つの要素の連携で、車にIoTプラットフォームを実現する。一度AoutoPiに接続すると乗車中じゃなくても車をオンライン接続できるので、外出先でもクラウド上で車を監視できる。AutoPi Dongleは2002年以降に発売された車に、OBD-IIポートを使って接続するとのことだ。

AutoPiは現在、クラウドファンディングサイトKickstarterでプロジェクトを立ち上げて出資を募っている。120,550DKK(約212万円)で、プロジェクトの締め切りは2017年10月2日だ。1,615DKK(約2.8万円)の支援からAutoPi DongleとAutoPi Cloudが使用できるセットが贈られる。希望小売価格の約30%オフとのことだ。


AutoPi Dongleとは

車用IoTプラットフォーム『AutoPi』で車の機能を拡張


ここではAutoPi Dongleについて詳しく説明していきたい。AutoPi DongleはRaspberry Piをベースに作られたドングルで、車とAutoPi Cloudを連携させる役割を持つ。AutoPi DongleはARMプロセッサを搭載したコンピューターで、安価なことから多くの開発者に利用されている。今回採用されているのは初心者でも扱いやすい「Raspberry Pi Zero ワイヤレス」。さらに負荷のかかる拡張機能を試したいという方は、より性能の高いRaspberry Pi 3を別途購入してAutoPi Dongleに取り付けることができる。AutoPi DongleにはRaspberry Pi用の拡張基盤であるHATアダプターが備わっているので、Raspberry Pi 3を接続できるという。

AutoPi DongleにはIoTで実現できる可能性を最大限引き出すために、他にも4GモジュールやGPS、スピーカー、OBDチップセット、USBポート2つ、加速度計、スマート・パワーサプライ、GPIOピン、Mini HDMIポートを完備。WiFiやBluetoothに対応している。AutoPi Dongleに搭載された構成要素により、多くのことが実現可能だ。たとえばスピーカーが付いていることでAutoPiに「フロントガラスを開けて」と声で指令を出すことができる。AutoPi DongleとAutoPi Cloudの設定次第でさまざまなことに活用可能だ。

車用IoTプラットフォーム『AutoPi』で車の機能を拡張

またAutoPi Dongleで稼働するAutoPi Coreについても言及したい。AutoPi CoreはSDカードにあらかじめインストールされていて、AutoPi Dongleに内蔵されている。AutoPi DongleからAutoPi Cloudに転送されるデータを安全に保ち、AutoPi Cloudと周辺機器の連携を強化する。AutoPi Dongleのセキュリティ機能を最大限引き出す縁の下の力持ちだ。


AutoPi Cloudとは



車用IoTプラットフォーム『AutoPi』で車の機能を拡張


もう1つAutoPiを構成するうえで大事な要素となるAutoPi Cloudは、IoTの機能を開発するプラットフォームだ。クラウド上で管理されて、パソコンやスマートフォンからアクセスできる。AutoPi Cloudのプラットフォームでは、AutoPi Dongleと接続した車を管理できるダッシュボードといった機能を利用可能だ。

AutoPi Cloudには次のようなすぐに使える機能がそろっている。
・インタラクティブなウィジェットつきでカスタマイズ可能なダッシュボード
・車が通った道順を記録してあとから閲覧する機能
・アドオンのライブラリから簡単に新機能を追加
・内蔵端末を使って車とダイレクトに連携
・プラットフォーム連携サービスのIFFFを使ってトリガーやイベントを追加

ダッシュボードには好きな機能を並べて、右上や右下と好きな場所に移動することでカスタマイズできる。車が通った道順は、車を乗り降りした場所で別々に閲覧できるようだ。もう1度行きたいのに道順がなかなか思い出せないという場所があるのではないだろうか。そういった場所でも通った道を地図と一緒に確認できるので、ドライブに便利な機能となりそうだ。


セットアップ方法

車用IoTプラットフォーム『AutoPi』で車の機能を拡張

AutoPiの設定方法は難しくない。第一に、OBD-IIポートを保有する車でないとAutoPi Dongleを接続できないことに注意したい。プロジェクトページの注意書きには2002年以降発売の車でOBD-IIポートを保有するものとある。対応可能な車か確認できたら次はセットアップだ。AutoPi Dongleのケースを開けて、SIMカードを差し込む。次はAutoPi DongleをOBD-IIポートに差し込んだら、スマートフォンやタブレット、パソコンでAoutPi WiFiと接続する。すると設定画面が開くのでAotoPiキーの入力など必要事項を入力して、AutoPi Dongleをクラウドに接続したら完了だ。

プロジェクトを達成したら人気があるものを優先して追加できるアドオンを増やしていくという。使用していくほど使いやすい機能が充実していくIoTプラットフォームとなっている。