食材を管理する「FreshFridge」で
食品廃棄量を削減
環境省の発表によると日本の食品廃棄物等は平成26年度で約2,775万トン、中でも本来食べられるにもかかわらず廃棄されたのは約621万トンだったという。一般家庭では、冷蔵庫内の食材を管理できず腐らせてしまうことが食品廃棄の主な原因となる。この問題をクリアできたら、食品廃棄量の減少に大きく貢献できるのではないだろうか。今回は冷蔵庫の食品を管理するデバイス「FreshFridge」を紹介したい。
参照:我が国の食品ロス・食品廃棄物等の利用状況等(平成26年度推計)の公表について
http://www.env.go.jp/press/103939.html
4つの要素で冷蔵庫を管理する「FreshFridge」
FreshFridgeは4つの要素で効率的に食品を新鮮に保って、期限内で食品を消費するように利用者へ促してくれる。その4つの要素とは、保存容器の「Smart Container」に冷蔵庫用センサーの「Smart Sensor」、冷蔵庫の食品を管理する「Central Hub」、そしてFreshFridge用の「アプリ」だ。Smart Containerに保管した食品をCentral Hubやアプリで管理し、Smart Sensorは冷蔵庫の適切な温度と湿度を管理してくれる。4つの要素が連携して食品がダメになるのを防ぐ役割がある。
食品の廃棄量は現在、世界中で深刻な問題となっている。アメリカでは埋め立て廃棄の21%が食品を占め、生産された食品の40%が廃棄されているというデータが公開された。さらに4人家族が廃棄してしまった食品にかけた費用は年間1,500ドル(約16万円)で、7人に1人の割合で食品管理能力が十分ではないとのことだ。ムダになる食品をなくせば、廃棄量だけでなく家計も助かるという点に注目したい。世界的な廃棄量の多さと食材管理の難しさを考えると、世界中で需要の高い製品となりそうだ。
FreshFridgeは現在、Kickstarterでクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げて出資を募っている。目標金額は20,000ドル(約221万円)で、プロジェクトの終了は2017年9月28日を予定。20ドル(約2,200円)の支援で保存容器のSmart Containerを1つだけ受け取ることも可能。モニターはないが、アプリをダウンロードすればスマートに管理が可能だ。4つの要素が入ったFreshFridgeのセットは、150ドル(約1.6万円)から受け取れる。希望小売価格は299ドル(約3.3万円)となる。2018年11月から世界中に発送予定とのことだ。
それぞれの役割
FreshFridgeは4つの要素がセットになることで食品管理能力を最大限発揮する。まずFreshFridgeで一番大きな役割を果たす「Smart Container」について言及したい。これは中に食品を入れて冷蔵庫に保存できる容器で、市販のタッパーなどと同じような使い方ができる。他の保存容器と異なるのは、インテリジェントな機能を備えたスマートデバイスという点だ。Smart Containerの中に入った食品の新鮮さを、モニターの役割を持つCentral Hubに伝達する。これにより中を開けて見なくても食品の新鮮さを外部から確認可能。さらに賞味期限が迫ったら保存容器の底のライトが光って教えてくれるので、賞味期限切れの食品を放置して腐らせるという状況を回避できる。
次に紹介するのは冷蔵庫の中身を管理する「Central Hub」。先ほど紹介したSmart ContainerやSmart Sensor、アプリの情報を受け取って管理するハブのような役割を持つ。ここではスマートデバイスに関する情報の他に、買ってきたもののリストを作って冷蔵庫に何が入っているか全体的に管理できる。Central Hubを使ってレシピを閲覧できるので、食品管理以上にキッチンでの頼もしい味方となる。
機能としてはSmart ContainerとCentral Hubで完結しているように見えるが、Smart Sensorは冷蔵庫の環境設定に重要な役割を果たす。Smart Containerは容器内の食品の管理に長けてはいるが、冷蔵庫に入った全ての食品を管理出来ない。Smart Sensorが冷蔵庫に適した温度と湿度を測定することで、Smart Containerの短所を補っている。食品は適した温度でないと傷みやすくなるので、Smart Sensorを使って冷蔵庫を適切な環境にすることは、食品廃棄を減らすことに大きく貢献する。野菜室の温度や湿度が適切かどうかCentral Hubに情報を伝達するので、冷蔵庫を開けなくてもいつでもモニターで管理可能だ。
最後に紹介するのはFreshFridgeアプリ。このアプリはCentral Hubと連携してショッピングリストやレシピ、冷蔵庫の食品の確認が可能だ。外出先で買い物中でも、購入したい食品のメモや冷蔵庫の在庫確認ができるので、食品を余分に購入することを回避できる。Central Hubは外出先で利用できないので、アプリと連携することで効率よく冷蔵庫の中身を管理できる。アプリはすでにiOS版とAndroid版が公開されていて、機能が利用できる状態だ。現在ユーザーからのフィードバックを参考に、Kickstarterのプロジェクトが成功したら大型なアップデートを行う方針だという。
FreshFridgeは4つの要素を連携することで冷蔵庫の管理に役立つ製品だ。世界中が抱える食品管理の問題に大きく貢献することが期待できる。