環境にやさしい「Carbonet Zero」
二酸化炭素を再利用

二酸化炭素の排出を抑える車の開発など、環境を意識して二酸化炭素を抑制する動きが高まっている。二酸化炭素の抑制を促すため木を植えるという運動も行われているが、植林スペースや木の成長速度の面で課題が残る。


人間が排出する二酸化炭素量を木の増加ペースが追いついていないのが現状だ。そこで今回紹介したいのは、二酸化炭素をキャッチする「Carbonet Zero」。キャッチした二酸化炭素を再利用する優れものだ。

二酸化炭素を燃料に代える「Carbonet Zero」

環境にやさしい「Carbonet Zero」で二酸化炭素を再利用


Carbonet Zeroはフィルターと水だけで二酸化炭素を燃料として再利用できる製品だ。本体は容量18リットルのバケツで1年をとおしてかなりの二酸化炭素を燃料に変えることができる。アメリカでは給油装置だけでも一人当たり年間平均1.5トンの二酸化炭素が排出されているが、Carbonet Zeroを利用することでこの数値をほぼゼロにするほど二酸化炭素の排出を抑えるという。使用方法としては1つのフィルターを1〜2週間に1回変えるだけで良いとのことだ。

Carbonet Zeroは現在、Kickstarterでプロジェクトを立ち上げて出資を募っている。目標金額は60,000ドル(約669万円)で、プロジェクトの終了予定は2017年10月13日だ。60ドル(約6,690円)の支援で製品モデルのCarbonet Zeroが1台贈られる。

Carbonet Zeroの使用方法

環境にやさしい「Carbonet Zero」で二酸化炭素を再利用


Carbonet Zeroが二酸化炭素をキャッチするシステムはとてもシンプルで、必要なものはバケツの形をしたCarbonet Zero本体とフィルター、水のみ。まずはフィルターをCarbonet Zeroの中に入れて、約15リットルの水を注ぐ。水を注ぎ終わったらふたでCarbonet Zeroを閉じて、ホースでCarbonet Zeroとエンジンや給油装置、発電機とつなげば完成だ。フィルターはピンクから白に変わればフィルターの替えどきなので、一目で簡単にフィルターを替えるタイミングが分かる。

このステップが完了すれば、水酸化物をベースにしたフィルターがキャッチした二酸化炭素から温室効果ガスを吸収して無害な副産物を生みだす。この副産物はエンジンや給油装置の燃料として再利用することが可能で、わずかながら料金の節約にも貢献する。

Carbonet Zeroの付属品と使い方

環境にやさしい「Carbonet Zero」で二酸化炭素を再利用


二酸化炭素をキャッチして燃料に変えるシステムを実現するには、Carbonet Zeroに付属している製品ひとつひとつが重要な役割を果たす。Carbonet Zeroに付いている各要素は次のとおりだ。

● ホースの取り付け口と表示器がついたふた
● ホース
● 排気アダプター
● フィルター(購入可能)
● Carbonet Zeroのロゴが転写されたバケツ型の容器

ふたとフィルターは5ガロン(約18リットル)のバケツであればフィットするように設計されているので、所持しているものや購入予定のもので代用することもできる。バケツ型の容器を含まないパッケージでの販売も予定しているとのことで、さらにコストの削減ができそうだ。また給油装置に使用する場合など特定の位置にバケツを固定していしようするときは、壁に取り付ける部品の購入が必要になる。これはCarbonet Zeroを販売しているWebサイトで購入できるとのことだ。

シンプルで使いやすく設計

環境にやさしい「Carbonet Zero」で二酸化炭素を再利用


Carbonet Zeroは二酸化炭素をエネルギーとして変換する機能を備えているものの、シンプルで安価かつ安全に使えるように設計されている。他の二酸化炭素をキャッチする製品は高濃度の水酸化ナトリウムといった化学製品に依存したシステムで、深刻な化学火傷を引き起こす可能性があるという課題があった。Carbonet Zeroは水酸化ナトリウムよりもかなり安全な水酸化カルシウムのフィルターを採用しているだけでなく、工業規模で生産されているため価格を抑えることに成功した。Carbonet Zeroに使用しているフィルターが二酸化炭素で飽和状態になったら、簡単にフィルターを取り除くことができ、安全にゴミ箱に捨てることができるとのことだ。

Carbonet Zeroは所定の位置に取り付けてご家庭で使用できるだけでなく、キャンプなどアウトドアなシチュエーションでも使用できるという利便性の高い面がある。バッテリー技術の向上によって持ち運べる時間が長くなり、バッテリーの価格も以前より安価になってきた。Carbonet Zeroを外に持ち運んでコンセントにつなげることで、外にいながら携帯の充電やコンセントを使った製品の使用が可能になる。車で長距離移動が必要になった場合やキャンプなど外で宿泊する場合、大勢のグループで外に滞在する場合など様々なシチュエーションで役立ちそうだ。

いままで二酸化炭素をキャッチする機械は、使用する際に機械を隔離する必要があったため工場や工業経営向けの製品だった。前述したように化学火傷の危険性があり、常に人の近くで使用するのに危険性があるためだ。しかしCarbonet Zeroは水と水酸化物ベースのフィルターを使用したシステムを実行するため、この原則を覆すことになる。水にフィルターを浸すだけでパワー入力を必要としないので、簡単に取り替えることも可能だ。工業規格で使用されていた技術を一般消費者に届ける製品となりそうだ。