拡張可能ロボット「Turtle Rover」が
あらゆる場所を探索

研究や安全確認の一環で、人が入れない狭い場所や危険地帯の状況の確認が必要な場合がある。そういったときに役立つのがドローンや4車輪走行ロボットの存在だ。


テクノロジーの進化でドローンや4車輪走行ロボットといったマシンが普及し、陸・空に関わらずさまざまな場所を探索できるようになった。人が遭難した場所にいち早く駆けつけたり、危険物質が検出された場所の確認をしたりと、今やロボットは社会貢献が期待されている。人間が入ることのできない場所を探索する際に求められるロボットの条件はタフさだ。足場の悪い場所でも稼働できるロボットが求められている。今回紹介するのは本体のタフさと豊富な機能を備えた4車輪走行ロボット「Turtle Rover」。オープンソースで拡張可能な柔軟性の高い陸用ドローンだ。

拡張可能なロボット「Turtle Rover」

拡張可能ロボット「Turtle Rover」があらゆる場所を探索


Turtle Roverは足場の悪い場所や狭い場所など人の出入りが難しい場所で能力を発揮する陸用ドローン。がれきが散乱した場所でもタフな車輪で通り抜けることが可能だ。本体は防水加工がされているので、少し水が張った場所にも対応できる。本体の寸法は幅460mm×奥行410mm×高さ195mmとがっしりした設計だ。重量は約8kgなので、危険な場所で衝撃が加わってもすぐに横転するという心配はない。オープンソースで自由に拡張できるので、外部の高機能カメラを取り付けるなど自由にカスタマイズできる。専用のブラウザアプリを通して写真の撮影やライブストリーミング、動画の記録ができる点も魅力だ。アプリとライブストリーミング機能を通してリアルタイムで現地の様子を確認できる。また本体にはロボットアームがついているので、探索した地のサンプルを持ち帰ることも可能。研究に効果を発揮するタフなロボットだ。

Turtle Roverは現在、Kickstarterで出資を募っている。目標金額は60,000ユーロ(約775万円)で、プロジェクトの締め切りは2017年9月25日。1,497ユーロ(約19万円)の支援でTurtle Roverの組み立てキット、1,547ユーロ(約20万円)の支援で組み立て済みのTurtle Roverを贈るとのことだ。発送は組み立てキットで2018年4月、組み立て済みの製品で2018年6月を予定している。組み立て済み製品の希望小売価格は約1,997ユーロ(約26万円)だ。

機能を拡張可能

拡張可能ロボット「Turtle Rover」があらゆる場所を探索


Turtle Roverの特徴は本体に外部製品を取り付けて機能を拡張できるところ。これによりさまざまな研究やプロジェクトに対応できる。たとえば暗いところを探索するときは周辺を明るく照らす照明が必要になるだろう。Turtle Rover本体に照明を取り付けることで、暗い場所を探索する際の問題もクリアできる。暗い場所でも周辺を照らしてカメラに状況をしっかりと捕らえることができる。さらにTurtle Roverを送り込んだ場所がどのような構造になっているのか知りたいときも、この拡張機能が役に立つ。本体にレーザーで距離を把握するライダー(Lidar)システムを搭載することで、Turtle Roverが探索した場所の地図作成が可能だ。探索予定の場所をまずTurtle Roverに探索させて地図を作ることで、遭難といった危険を事前に防ぐことに貢献する。

Turtle Rover本体にはフルHDのカメラが内蔵されているが、拡張することで新たな外部カメラを搭載できる。360度の環境が撮影できる360度カメラを搭載することも可能。人が撮影できない場所をロボットで撮影して360度動画を投稿したいと考えている場合に有効な手段だ。アクションカメラGoProやデジタル一眼レフも搭載可能。搭載するカメラによって、より高解像度で美しい写真や動画を記録できる。

またキネクト(Kinect)を使うことでユーザーを追跡する機能を追加することができる。キネクトはMicrosoftから発売されていて、ジェスチャーや音声認識によって製品を操作できるモーションセンサーデバイスだ。Turtle Roverに設定することで、利用者の動きを感知させて追跡といった指令を出すことができる。


Webブラウザアプリでコントロール

拡張可能ロボット「Turtle Rover」があらゆる場所を探索


Turtle RoverはWebブラウザで作動するアプリを使ってコントロールできる。Webブラウザで作動するため、さまざまなスマートフォンやタブレットと互換性があるのが特徴だ。常に使用するスマートフォンやタブレットでTurtle Roverを操作できるので、荷物の幅をとらないというメリットがある。カメラを通した映像と操作エリアが一体化して直感的に操作できるインターフェースを採用。このインターフェースは宇宙船打ち上げの際に使用されるコントロールパネルのデザインからヒントを得ているという。タッチスクリーンで手軽な操作感を実現している。写真を撮影したい場所や動画を記録したい場所があるときは、簡単な操作で写真撮影などが可能。WebブラウザアプリとTurtle Roverの接続にはWiFiが必要だ。WiFiの接続距離は200mという点に気を付けて操作しなければならない。

参加する研究やプロジェクト用に探索ロボットを一から作るのは時間がかかってしまう。しかしTurtle Roverといった拡張可能なロボットを活用することで、多くのプロジェクトを効率的に進めることができるだろう。