本体サイズが変更できる「New Nine」
価格を抑えて高品質を実現

3DCGデータなどをもとに立体的なオブジェクトを造形する3Dプリンター。メディアに取り上げられるようになり3Dプリンターを活用したフィギュアの作成や失くした部品の再現、オリジナルのスマホケース作成など、商業用だけでなく一般向けの使い方も認知されてきた。


商業利用ではなく消費者が個人的に3Dプリンターを購入したいと考えたときに問題が2つある。サイズと価格の問題だ。工場にあるような大きさの製品は普通の家では置き場所がなく、数十万円以上になると手を出しにくくなる。この2つの条件に取り組んだのが「New Nine」という3Dプリンター。本体サイズを変更できて、手を伸ばしやすい価格が特徴だ。

優秀な3Dプリンターを最安199ドルで購入できる

本体サイズが変更できる「New Nine」価格を抑えて高品質を実現


商業用と同等の機能を備えながら価格を抑えた3DプリンターNew Nine。本体のサイズを変更して利用できる点も特徴的な製品だ。高価に販売されている3Dプリンターとそん色ない技術を使って開発。しかし安価な方法で設計することで価格を抑えた。1,200ドル(約13万円)相当の機能を備えた製品を最安値199ドル(約2万円)で提供すると開発側は伝えている。

開発元のEasily Buildは3Dプリンターの開発に情熱を燃やす企業だ。新しい技術を開発して3Dプリンターのコミュニティに提供したいと語っている。創設者は13年も3Dプリンター業界に従事するRory Korathu-Larson氏で、業界のパイオニア的存在の1人。New Nineは3Dプリンターに深く従事してきたチームが開発した新しい3Dプリンターだ。

現在New NineはクラウドファンディングサイトKickstarterで支援金を募っている。目標金額は60,000ドル(約655万円)で、プロジェクトの終了は2017年9月21日。支援金額によって受け取れる製品は異なる。
New Nineには「New Nine RTA」、「New Nine RTP」、「New Nine CUSTOM」と3種類のプランが用意されている。「New Nine RTA」は最安値の199ドル(約2万円)で購入できる3Dプリンターだ。しかし部品が入った組み立てキットになっており、3Dプリンターを利用するにはまず組み立てる必要がある。開発側によると、組み立てガイドビデオを同梱しており9つのステップで組み立てが完了するとのことだ。
「New Nine RTP」は届いたらすぐに利用できる組み立て済みの製品。価格は399ドル(約4.3万円)だ。開発側は同製品より5倍高い製品と比べてハイスピードでハイクオリティなことを明言し、安価ながらも他社製品に劣らない品質をもつことをアピールしている。
最後の「New Nine CUSTOM」は自分好みのサイズにカスタマイズできる製品。999ドル(約10万円)で購入できる。現在のところカスタマイズできるのはNew Nine CUSTOMと明言されているので、本体サイズを自由自在に変更して利用したい場合は同製品ならカスタマイズできるようだ。

New Nine RTAとNew Nine RTPの発送予定は2017年12月、New Nine CUSTOMは2018年1月だ。世界中に発送するとのことだが、製品価格に配送料は含まれていない。日本への配送料は記載されていないので問い合わせが必要だ。


New Nineの仕様

本体サイズが変更できる「New Nine」価格を抑えて高品質を実現


New Nineの本体サイズは508 × 381 × 508mmで重量は3.9kg。大人が持っても問題ないサイズと重量になっている。プリントスピードは1秒間に105mm。レイヤーの高さは25~350マイクロメートルだ。

3Dプリンターを稼働する際に、スライサーソフトが必要となる。これは3Dモデルを薄くスライスして3Dプリンターが読み取る際に必要なG-codeを作成するソフトウェアだ。New Nineはオープンソースのため、CureやSimple3Dといった一般的なスライサーソフトを使用できるとのことだ。

保証やサポートも提供されている。製品は1年間の保証が付き、メールでの技術サポートは無料で期限に制限はない。発送から60日間は無料で通話サポートも行うとのことだ。組み立てキットの購入者や製品の使い始めでつまずいてしまったユーザーにも安心のサポート体制を提供予定だ。


品質とスピードに自信

本体サイズが変更できる「New Nine」価格を抑えて高品質を実現


New Nineの開発元は同等価格の他社製品に劣らない品質とスピードを提供すると語っている。同製品に搭載されているTuned Mass Damperだ。Tuned Mass Damperとは、おもりなどをダンパー(衝撃や振動を抑制する装置)とバネで取り付けることで固有振動数を最適に調整し、機械の振動を抑えるシステム。おもりがゆれることで振動を吸収する役割を持つ。ちなみにそれぞれTuned(調整)・Mass(おもり)・Damper(ダンパー)という意味だ。このシステムによって高速で3Dオブジェクトを生成しながら、安定した品質を保つことがでる。

印刷はビルドプレートが上から下に下がるトップダウン方式を採用している。下から上にビルドプレートが上がるトップダウン方式は、レイヤーごとにプレートを停止して固めていくので、むらや継ぎ目ができやすい。しかしトップダウン方式はレイヤーごとに停止する必要がないので、3Dオブジェクトをむらなくよりなめらかに仕上げてくれる。

3つの製品プランから選ぶことで、高品質な3Dプリンターを自身の手の届く価格で手に入れることができる。組み立てから楽しんだり本体サイズをカスタマイズしたりと、多くの楽しみが詰まった製品だ。