IoTで土壌を管理する
「NB-IoT BLE Gateway」セット

今回紹介するのはIoTで土壌の管理ができる「NB-IoT BLE Gateway」セット。クラウドからデータを取得して土壌の管理ができるので、見た目で分からない植物の環境を知ることに適している。これを使えば小学生の夏休みの宿題で植物を育てるという研究課題が出ても、最期まで元気に育てることができるのではないだろうか。

IoTで土壌を管理する「NB-IoT BLE Gateway」セット

ベランダや室内で観葉植物や花など植物を育てている家庭は少なくないはず。植物は家庭を明るくするアイテムとしてだけではなく、一人暮らしの心を癒す存在としても活躍する。しかし植物の育成になれていないと、水やりの量が分からず植物を枯らしてしまうという場面も多いのではないだろうか。気候の変化を予測することは難しい。植物の育成に慣れた人でも、思いがけず猛暑日が続き植物を弱らせてしまうというシチュエーションもあるだろう。

3つのデバイスで土壌の状態を可視化

今回紹介する製品は3つのデバイスがセットになって、土壌の状態を確認するシステムを作っている。セットの構成は「NB-IoT BLE Gateway」と「Soil+ BLE Sensor」、「Arduino shield」という3つのデバイスから成っている。Soil+ BLE Sensorは土壌の質をチェックするデバイスで、NB-IoT BLE GatewayはSoil+ BLE Sensorから受け取ったデータをクラウドに届けるハブのようなデバイス。Arduino shieldはNB-IoT BLE Gatewayとつながってデータを読み込む頭脳のような役目を果たす。Arduino shieldは直列伝送端末を経由したUSBでも代替えできる。

IoTで土壌を管理する「NB-IoT BLE Gateway」セット

このセットを使用するときは、まずSoil+ BLE Sensorの2本足になったピン部分を土壌に差し込む。するとSoil+ BLE Sensorが土壌の水分量や周辺温度、湿度、光源レベルといった情報をBLEデータでNB-IoT BLE Gatewayに送る。NB-IoT BLE Gatewayは受信したデータをLTE通信でクラウドに転送するという仕組みだ。これは2つのデバイスを使ったデータ転送方法の1つ目で、データの転送には計3つの選択肢が用意されている。2つ目はNB-IoT BLE Gateway とArduino shieldを組み合わせた方法で、3つ目はNB-IoT BLE Gatewayと直列伝送端末を経由したUSBを組み合わせた方法。どちらもNB-IoT BLE Gatewayの機能を拡張するが、NB-IoT BLE Gatewayは他のデバイスに依存せず単独で使用できる。

NB-IoT BLE Gatewayセットを開発したのはイギリス企業の「PCBSCAPE Ltd」。消費者の課題解決をサポートすることを目標に製品開発を行っている。その目標のもとプロジェクト立ち上げ時点(2017年7月)から6カ月前に、NB-IoT BLE Gatewayセット開発プロジェクトをスタートさせたという。消費者の課題解決を考えて取り組んでいることもあり、NB-IoT BLE Gatewayセットは省電力でIoTデバイスに適した技術を採用したIoTセットになっている。


注目技術が多数搭載された「NB-IoT BLE Gateway」

今回のセットでNB-IoT BLE Gatewayは大きな役割を果たしていることに加えて、注目技術が搭載されたデバイスだ。NB-IoT BLE Gatewayは、PCBSCAPE Ltdが開発した「IoTゲートウェイ」。IoTは「IoTデバイス」と「IoTゲートウェイ」の2つの要素で構成されている。IoTデバイスは、照明やテレビ、エアコンなどIoT家電のようなネットワークに接続する「モノ」のことを指す。IoTゲートウェイはIoTデバイスをネットワークに接続するハブの役割を持つ。IoTデバイスのつなぎ方はネットワークに直接接続する方法と、IoTゲートウェイを経由してネットワークに接続する方法の2種類。多くのIoTデバイスを管理・制御できるので、IoTゲートウェイを使用したつなぎ方の方が多く利用されている。

IoTで土壌を管理する「NB-IoT BLE Gateway」セット

IoTゲートウェイであるNB-IoT BLE Gatewayに活用されている注目技術は、「NB-IoT」と「BLE」の2つの技術だ。
まず紹介するNB-IoTは、携帯電話の通信にも使用されているLTE通信をIoT機器向けに拡張した通信技術。電波の届きやすさと省電力による長期間にわたる電池駆動を実現した今後の普及が期待されるIoT接続方法の1つだ。将来的にIoT家電が普及することを考えると、多くのデバイスを接続することが必要になる。そうしたときにスペースをとる有線通信は現実的ではなく、BluetoothやWi-Fi、モバイルブロードバンドといった無線通信が優先される。中でもIoTデバイスに欠かせない省電力を実現するNB-IoTは、IoTに最適な通信技術として採用が加速している規格だ。

NB-IoT BLE Gatewayで、NB-IoTはIoTゲートウェイとクラウドを接続するときの通信方法。BLEはIoTゲートウェイ「NB-IoT BLE Gateway」とIoTデバイス「Soil+ BLE Sensor」を接続するときの通信方法だ。BLEはBluetooth Low Energyの略で、低消費電力を実現したBluetoothの規格。IoTデバイスは電池交換が容易ではないため、できるだけ電池が長く持つことが必要不可欠。省エネを実現した通信方法はIoTに最適だ。BLEをとおしてSoil+ BLE Sensorで取得した土壌の状態に関するデータがNB-IoT BLE Gatewayに転送される。NB-IoT BLE Gatewayは受け取ったデータを処理して、NB-IoTでクラウドにデータを転送するという仕組みだ。
BLEは他と比べて価格が安く導入が容易、自由な設計が可能。これからIoTデバイスが普及していく上で重要な役割を果たすことが期待できる。

NB-IoT BLE GatewayにはボーダフォンのSIMカードが採用されているが、LTEが使える範囲なら他のSIMカードを使用しても良いとのこと。オープンソースで提供予定のため、利用者好みに改善できる点もNB-IoT BLE Gatewayセットの魅力。IoTで省電力がさらに重要になると見越して技術を取り入れた期待のIoTセットだ。