個人向けロボットキット「CrazyPi」
DIYでオリジナルロボを作成

スマートフォンとアプリの組み合わせで、アプリと連携した製品を手軽に動かせるようになった。インターネットと家電をつないで遠隔操作できるIoT家電も人気が上昇し、今までは企業や専門職の人が使っていた技術も消費者が手を伸ばしやすいレベルまでやってきた。

個人向けロボットキット「CrazyPi」、DIYでオリジナルロボを作成
(動画再生時間:2分5秒)

今回紹介する「CrazyPi」は個人向けの4車輪走行ロボットを作れるキット。DIYで自分好みに設計できるので、特定の場所のモニターやちょっとした荷物の郵送など身近なことに役立つロボットを作製できる。

DIYロボット製作キット「CrazyPi」

CrazyPiはロボットの製作に必要な部品をそろえたキット。移動部分となる4つの車輪が付いた本体に、頭脳となるメイン基盤、ロボット制御シールド、カメラ、スピーカー、気象センサー、回転台の一種ジンバル、レーザー光線で位置を把握するLiDARなどがキットに含まれている。メイン基盤にはロボット用のフレームワークROS(Robot Operating System)を内蔵。オープンソースのソフトウェアなので、自分で編集してCrazyPiに独自の指令をだせる。部品同士は磁石のようにぴったりとくっつけることができるので、好みの位置に部品を取り付けやすいのが特徴だ。

CrazyPiは2017年9月8日まで、Kickstarterでクラウドファンディングプロジェクトを実施。すでに目標金額の200,000香港ドル(約280万円)を集めている。早期割引の「CrazyPi Basic Explorer Kit」は、2,008香港ドル(約2.8万円)の支援金で購入できるCrazyPiの組み立てに必要な部品が一式そろったセット。2017年10月に発送予定で、世界中に発送可能とのことだ。

SLAMを使ったマッピング

個人向けロボットキット「CrazyPi」


CrazyPiの特徴の1つは、初めて訪れる場所でもマップを作成できるところ。同製品に搭載されているSLAM (Simultaneous Localization And Mapping)は、レーザーによる位置の把握とマップ作成を行うシステム。キットに同梱しているLiDARを使用することで、自身のいる位置推測と周囲の地図作成を同時にこなすことができる。この機能を使うと新しく訪れた場所の地図をすぐに生成できるので、地図が必要になる課外活動などのプロジェクトですぐに周辺情報をまとめた資料を用意できる。外の地図であればGoogleマップなどで閲覧できることもあるが、室内まで正確な地図を取得できることは多くない。地図が提供されていない場所で地図の生成に役立つことが期待できる。

優秀なストリーミングシステム

CrazyPiは4GモジュールとP2Mサービスで、インターネット接続があれば世界中どこからでもリアルタイムでカメラを通した映像を閲覧できる。設定次第で子供の見守りや仕事中のペットの様子の確認、指定した相手にプレゼントを届けるといったアクションが可能だ。CrazyPiはカメラを使ったモニターだけではなく、ロボットアームuArmと車輪を使った移動力で様々なことに対応できる。たとえば遠く離れた相手とCrazyPiを操作してチェス対決したり、植物に水やりをしたりといった多くのアクションに応用可能だ。リアルタイムで映像を取得することで、距離に関係なく行動を拡張できる。CrazyPiに指令を出す方法はアプリケーションのコードをカスタマイズするか、IFTTTで行動を設定する方法がある。IFTTTは異なるプラットフォームを連携させる無料サービス。スマートフォンから設定できるという手軽さが魅力だ。

個人向けロボットキット「CrazyPi」


CrazyPiはIFTTTを使ってスマートフォンから遠くにいても指令を出せる。しかしウェブオペレーティングシステムと専用のアプリから遠隔操作するという選択肢も用意されている。この2つの方法ならCrazyPiをフル操作できるとのことだ。アプリはApp StoreとGoogle playの両方から配信されている。

キットに同梱されている気象センサーは、気温や湿度、風圧などを感じ取り利用者にデータを送信する。送信された気象データはアプリやウェブから閲覧できるので、リアルタイムで映像を確認しながら気象情報を受け取ることも可能だ。出張中に家がある地域が台風に見舞われたとしたら、出張先から家周辺の様子を確認できるかもしれない。帰宅前に家の様子や気象情報を受け取っていれば、いち早くその後の対応に移すことができる。

豊富な接続オプション

リアルタイムに映像をストリーミングするには、インターネットと製品を接続する方法が必要になる。CrazyPiは豊富な接続方法を用意している点が製品を使いやすくしている秘訣だ。WiFi接続はもちろん、4G、Bluetooth、音波といった様々な接続方法に対応。ユーザーの好みで選択可能だ。ネットワークアクセスのない環境であれば、CrazyPi独自のホットスポットを起動することでアプリと接続して本体を動かすことが可能。インターネット回線が途切れてしまった万が一の場合でも安心だ。豊富なインターネット接続サポートのおかげで、ユーザーは海外からでもCrazyPiを操作できる。

いままで見守りや荷物の輸送といった特定機能を持つ消費者向けのロボットが多かった。CrazyPiはキットとして販売することで、消費者独自の要望に応えたロボットの提供を可能にする。日常を支える身近なロボットの普及に貢献するかもしれない。