振動をキャッチする「Raspberry Shake 4D」で防災対策

地球の表面を覆っているプレート。このプレートが移動することで地震が発生する。日本列島は4つのプレート境界付近に位置するため、地震を体感することが多い国の1つ。日本に住んでいて地震を経験したことがないという人はいないのではないだろうか。特に2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震と大きな震災が続き、日本に住む人の地震に対する警戒度はさらに上がっている。被災時に備えて水や食料の入った防災グッズを保管しておく家庭も多くなった。

動画再生時間:2分04秒

しかし万が一の場合、余震に気づかなかったらどうだろう。大きな本震に気づいたころには避難が困難になっている状況は避けたい。できるだけ小さな揺れから警戒して、大きな地震がきた場合はすぐに避難できる環境作りが重要だ。今回紹介する「Raspberry Shake 4D」はわずかな振動もキャッチする地動モニタ。コンパクトサイズのため各家庭でも活用できる防災グッズだ。

IoT地動モニタ「Raspberry Shake 4D」

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(動画再生時間:28秒)
Raspberry Shake 4DはIoTテクノロジーを搭載した地動モニタ。
地震や土砂崩れといった自然が生み出す振動に加えて、
採石場の爆発や核爆発のテストなど人が生み出す振動もキャッチして知らせてくれる。

地震や土砂崩れ、泥棒による被害がニュースで取り上げられる中、人々の防災・防犯意識はさらに上昇している。その影響か、スマートホンを利用してエアコンのオンオフなど外出先から家電を制御・管理するホームオートメーションの需要が急増。家庭内にインターネットとモノを接続するIoT技術が多く取り入れられるようになった。
Raspberry Shake 4DもIoTテクノロジーを採用した機器。振動を観測するのに大がかりな機械を必要とせず、手のひらサイズのコンパクトな機体を実現している。リアルタイムで正確な情報を提供するため、すぐに情報を受信できる点が魅力的な製品だ。

Raspberry Shake 4Dは、人が感じ取れないほど小さな振動から大きな振動まで近隣地域の地動を測定。目に見えない振動を観測して利用者に伝えることが役目だ。Raspberry Shake 4D本体を家に置いていても、振動が起こればスマートホンなどで通知を送ってくれる。このシステムを実現しているのがIFTTTだ。IFTTTとはWebサービス同士を連携させるシステム。FacebookとDropboxやTwitterとスマートホンなど異なるWebサービスをつなぐ、インターネット上で無料利用できるサービスだ。
IFTTTによりRaspberry Shake 4Dで観測した振動をスマートホンのプッシュ通知やメール、SNSで受け取ることができる。
参照:IFTTT:https://ifttt.com/login


前モデルRaspberry Shakeの実績


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現在Kickstarterで支援を募っているRaspberry Shake 4D。前モデルのRaspberry ShakeもKickstarterで支援プロジェクトを立ち上げて目標の14倍を達成し成功を収めた。前モデルで支援者から受け取ったフィードバックを元にRaspberry Shake 4Dをリリース。改良を重ねてより良い製品を作り出した。

Raspberry Shakeはすでに1,000ユニットを50カ国に分配した実績を誇る。地震を観測する機関の関心を集め、素早い地震の観測と信頼できる情報の提供に役立った。前モデルの支援団体にはアメリカのOklahoma Seismic NetworkやヨーロッパのEMSC(European Mediterranean Seismological Centre)が名を連ねている。信頼できる地震観測機関がRaspberry Shakeの実力を評価し、支援したということだ。

採石場の爆発や核爆発のテスト、水圧破壊法などの振動を観測するということから、オクラホマの地質調査所はRaspberry Shakesを100ユニット購入した。前モデルの時点で多くの機関から品質に信頼を得ているという点が、新モデルRaspberry Shake 4Dへの期待を高めている。


「Raspberry Shake」と「Raspberry Shake 4D」の違い


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前モデルRaspberry Shakeから新モデルRaspberry Shake 4Dは性能が大幅に強化された。ARMプロセッサを搭載しているシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」を頭脳に持ち、センサー技術を組み合わせることで観測できる幅を2倍にしている。Raspberry Shake 4Dは前モデルの2倍幅の振動を観測し、4倍のデータ量を受信する。

これによってRaspberry Shake 4Dは近隣の振動を詳細に観測できるようになっている。例えば近隣の工事現場の振動、家の前の交通による振動、試合を応援している観衆の声援、コンサート会場の揺れ。また洗濯機の回転や薄い壁から響く隣の人の騒音といった身近なものまで観測可能だ。防災だけでなく実験など必要なデータ取得に役立つ場面が増加した。

また新モデルは4Dと名づけられたとおり、4つのセンサーを持つことも振動を正確にキャッチする特徴の1つだ。搭載されているセンサーの1つは前モデルRaspberry Shakeに搭載されていた受振器。これに加えて新たに3つの強力なMEMS加速度センサーが導入された。デバイスに4つの記録チャンネルを追加することで、本体の強化に貢献している。

KIckstarterのリワードは支援金により異なる。Raspberry Shake 4Dの全てのセットが揃っているのは「The 4D Pi-Full Kit」からだ。2017年7月時点でディスカウントプライスのEary Birdバージョンは完売したが、支援金349,99ドル(約39,000円)でThe 4D Pi-Full Kitを獲得できる。希望小売価格は約500ドル(約56,000円)なので、約150ドルのディスカウント価格で購入可能だ。

クラウドファンディングの実施は2017年8月17日まで。目標金額は7,000ドル(約78万円)だが、2017年7月19日時点ですでに57,000ドル以上(約600万円以上)の支援を集めている。製品の発送は同年10月を予定しているとのことだ。