作物監視ロボット「AGRowBot」が小規模農場の労働力補完に役立つ

労働力や費用の問題はさまざまなビジネスで発生するが、特に農業関係で問題が浮き彫りになっている。なかでも農家で働く人材の確保は困難な場合が多い。田舎で暮らしたいと願う若い世代も多くなっているが、小規模な農家や人にあまり知られていない土地ではいまだ人手不足に悩むところも少なくない。

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また労働力が必要にもかかわらず費用面で人材の補充が叶わないということもある。大規模な農園ならまだしも、小~中規模な農園では人材面と費用面で頭を悩ますことが多いのが現状だ。

農業の過程で生じる手間を軽減するために、昔からトラクタや田植機といった農業機械の導入が盛んだった。しかしこれからは労働力の不足やコスト削減を視野に入れて、ロボットの活用が多くなるのではないだろうか。今回紹介する「AGRowBot」は、農業で生じる問題を解決に導く作物監視ロボットだ。

作物監視ロボット「AGRowBot」

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AGRowBotは条播作物の状態を監視して利用者に伝えてくれる農業用のロボット。条播作物とは畝に沿って種子をまく作物で、地面の低い位置で育つものを指す。開発元はETVという3年前にアメリカ・ニューメキシコ州のアラモゴードに設立された企業だ。人のためのロボット工学にフォーカスしている。AGRowBotの開発は2016年の夏から開発が進められていて、今回Kickstarterでプロジェクトを立ち上げる運びとなった。

ETVがAGRowBotの制作に乗り出したのは、小~中規模の農園を支援するため。アメリカでは労働力やコストの問題で、小~中規模の農園の閉鎖が急増していた。作物ひとつひとつの状態を確認して、害虫処理や病気の世話をするのは簡単な作業ではない。多くの作物を育てるほど管理に手間がかかってしまう。かといって小~中規模の農園では、余分な人件費に割ける費用がないところがほとんどだ。労働力とコストの問題は大きな課題となっていた。

こういった農園の問題を解決するために開発されたロボットが、作物の状態を監視するのに役立つAGRowBot。人がひとつひとつ作物を確認しなくても、AGRowBotが畑を移動して作物の状態を確認してくれる。人間が行う作業を大きく負担してくれる実用的なロボットだ。

「AGRowBot」の役割

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AGRowBotは機体に6つの車輪と3つのカメラを備えた自動走行ロボット。石や砂でガタつく道も難なく移動し、カメラで正確に作物をとらえることができる。サイズも人が持ち上げられるほどコンパクトなため、畝の間隔が狭い場所でもある程度は移動可能だ。

AGRowBotは作物ひとつひとつの状態を監視可能。カメラで作物をひとつずつ監視し、写真やビデオを利用者のスマートホンやタブレットに送る。利用者は写真をとおして各作物の現在の状態を知ることができる。畑に向かわなくても遠隔で作物の様子を確認できるため時間を大幅に節約可能。育てる作物が多くなっても限られた人数で管理できるようになるため、小~中規模の農場であっても生産性を大きく高めることができそうだ。

AGRowBotが認識するのは作物の状態だけではなく、雑草や害虫の有無も認識して利用者に知らせる。作物が病気になっていないか栄養が足りているかを可視化して利用者に報告するため、作物の管理をしやすくなるというメリットがある。殺虫剤や費用が必要な場所を的確に判断できるので、肥料や殺虫剤をムダなく使用可能。コストや他の作物への影響を最小限に抑えてくれる。

AGRowBotの一番の特徴はなんといっても作物ごとに評価するところだ。畑で育っている作物全体を評価するだけでは、病気になっている作物を見逃してしまう可能性がある。作物ひとつひとつを認識して害虫がいないか健康な状態か評価し、レポートする機能が利用者の負担を大きく軽減してくれている。
畑に自ら向かい目視で作物の様子を確認した場合は、後から確認する方法はあまりない。毎日作物の様子を撮影するのもかなりの手間がかかってしまう。AGRowBotであれば機体が撮影した写真を後から確認できるため、見逃し防止に大きく貢献する点も特徴だ。

支援することで製品を受取可能

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AGRowBotを早く受け取る場合は、Kickstarterからプロジェクトに支援することで製品を受け取ることができる。さまざまな支援プランが用意されているが、AGRowBotの完全版を受け取れるのは799ドル(約9万円)の支援から。このプランでは2018年1月に製品を発送予定だ。

349ドル(約4万円)の支援でAGRowBotの車台のみが受け取れる。スマートホンなどで映像を監視できるカメラを所有していれば、AGRowBotと似たような使用感を実現可能だ。各作物の評価を行うことはできないが、簡易的に作物の状態を目視することには役立つだろう。

2,499ドル(約28万円)以上の支援になると、開発チームと一緒にAGRowBotを組み立てるプランや直接AGRowBotを受け取るプランも用意されている(米国のみ)。開発チームと触れ合う機会が多いのが、AGRowBotのクラウドファンディングプロジェクトの特徴だ。

クラウドファンディングのプロジェクトは2017年8月4日にクローズ予定。最終的な目標金額は25,000ドル(約280万円)としている。

AGRowBot: the Autonomous Ground Row-Crop Robot

カテゴリー: Next-genTech   

日向 ゆま

日向 ゆまAuthor

フリーランスの翻訳者兼ライターとして活動。専門はIT・マーケティング、ゲーム翻訳も担当。主にソーシャルメディアマーケティングに関する記事執筆と翻訳に携わる。また過去にVRの最新ニュース翻訳も担当。特にVR・AR・MRに興味あり。

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