AIを活用した卵内雌雄判別技術でアニマルウェルフェアを高進

世界規模で、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、雄のひよこの淘汰が問題となっている。食用卵を生産できるのは雌の鶏だけであるため、年間約60~70億羽(各国機関推計)の雄のひよこがふ化直後に不要物として廃棄されている、今日、ふ化前に雌雄を判別する技術が開発されつつある。

ふ化前に雌雄を見分けることで、雄の卵を選別し、雄のひよこが生まれることを回避できる。さらに、痛覚が生じる前のふ卵8~12日目に判別を行う技術が欧州連合(EU)を中心に実用化されていて、より高い水準のアニマルウェルフェアの実現をめざした取り組みが進んでいるという。日立ソリューションズ・クリエイト農研機構九州工業大学は、画像認識AIを活用した鶏卵の卵内雌雄判別技術を共同開発した。

①一部切除した卵殻外からの胚と胚周辺の撮像にて雌雄判別するAIモデルを開発――学習済みモデルは目視で区別できない特徴、雌雄の差異を捉えられることを発見。②上記AIで見える化する、適切な鶏卵設置方法、カメラ・光源の配置と撮影方法を見いだした。③光学的な空間周波数調節などでクチクラ等不要情報を削減かつ必要情報を強調する処理を施した大量・多様な画像で学習データを作成して、多彩な条件下で使えるAIモデルを生成した。

結果、ふ卵3日目に卵を傷つけずに、最高97%の精度で卵内雌雄判別を可能とした。同技術により、世界における年間60億羽超にも及ぶ雄のひよこの淘汰の回避に貢献できる。EUでいち早く実用化されている卵内雌雄判別技術の一層の発展と普及の一助にもなり得ると考える。3者は、同技術のさらなる判別精度向上と早期の実用化を目標とする。

そして、日立ソリューションズ・クリエイトは、今回の開発技術を標準モデルとして、ふ卵場ごとの環境特徴に対応したカスタマイズモデルの開発と、鶏卵業界の企業とのパートナーシップ確立を通じ、同技術の商用化をめざす考えだ。