建設現場DX、ドローンで立坑内を測量し高精度な出来形データを取得

面ではなく点でしか測量できず、立坑(たてこう)が深くなるにつれて精度確保が困難になる。深度に応じた昇降や高所作業が不可避で、安全対策コストが高い。立坑における連壁内面の出来形測量はこれまで、測量機器を用いて作業員2名で約2時間を要していた。施工サイクル上――

昼間の測量ができない場合は夜間に実施。多くの時間と労力が掛かっていたという。西松建設五洋建設、およびKDDIスマートドローンは、人手による測量が困難かつ負荷の高い特殊な施工環境「立坑」において、短時間かつ高頻度で現場全体を記録できる自動充電ポート付きドローン(紹介動画:YouTube)を活用し、3次元測量を実施した。

測量作業の大幅な時間短縮と省人化を目指し、同ドローンを現場内に常設し、遠隔測量を実施した。今回の取り組みの結果、周期的な飛行による土量変化の把握(進捗管理)と出来形測量を重ねることで、GNSS(全球測位衛星システム)信号下の深部の施工箇所において、誤差±20mmという高精度な出来形データの取得に成功した。

【精度】誤差±20mmの面的な高精度測量を実現。3Dデータで詳細な形状を把握可能とした。【安全性】立坑内のドローンによる無人測量で危険作業を削減、安全性が大幅に向上した。【効率性】ドローンの周期的な自動飛行によって測量時間を大幅に短縮、作業人員の最少化を実現した。今般の取り組みでは地下空間で減衰するGNSS信号下でもドローンを安定飛行させ、上記高精度の出来形測量を実証した。

3社は今後、立坑の掘削が進むにつれ、GNSSが完全に遮断される深度へ到達することから、GNSS非依存で自律飛行できるドローンによる高精度な測量の継続的な実現可能性についても検証を進めていく。上記成果を礎に、建設現場での安全性・生産性の向上と、現場DXを加速し、建設業界全体における持続可能な施工管理モデルの確立に貢献していく構えだ。