建設現場の状況を3Dモデルで即時更新・常時リモート確認

施工管理業務は作業の進捗や正しい手順かの確認が基本だ。刻々変化する建設機械・資機材の位置を正に把握し、作業が予定通り行えるか確かめることも重要だ。そこで多様なモノの"動き"はGNSS測位等のセンシング技術によるリアルタイム可視化を行ってきた。

一方で、施工中の構造物・足場・仮囲い・資機材などについては、主に造成工事におけるドローン活用による3次元での見える化が進んでいたが、飛行条件の制限により点群データやオルソ画像(図面と重畳できる精度の航空写真)を生成するのに時間を要するなど課題があったという。鹿島は、日立産業制御ソリューションズと共同で、現場状況の3次元モデルをリアルタイム更新・確認できるシステム「リアルタイム3Dスキャン」を開発した。

同システムは、現場を見通せる複数箇所に各常設したカメラとLiDAR(光検出&測距)のセットにて同時取得した画像データと点群データをクラウドで解析・合成して色付きの3Dモデルを作成する。関東地方整備局発注「R2 国道20号八王子南BP館第二トンネル工事」に導入した結果、現場状況を遠隔地から即時かつ3Dモデルで把握でき、作業内容の確認や工程調整といった施工管理業務が大幅に効率化できることが認められた。

クラウドで次の3ステップを高速処理する。①画像と点群データの結び付け、②高精度モデル生成のためのクリーンアップ、③色付きの3Dモデルとオルソ画像の生成。これにより、事務所でも現場の状況を即かつ常に確認でき、モノの寸法や重機作業の範囲等も確認可能となった。現場にデータ処理用端末が必要ない。

施工管理の様々な業務に展開するべく、今回の現場で培った知見を活かし、改良を進める。同システムと「Field Browser®」とを統合することでいずれ施工管理の一元化、デジタルツインを進化させる。同社は、施工管理業務の効率化と安全性の更なる向上に寄与していく考えだ。