20~60歳男女の食事パターン差を見える化、個別化栄養指導へ

個人の食事パターンを評価する。10品目(肉、魚、卵、大豆、乳製品、野菜、海藻、果物、芋、油脂)の摂取頻度を点数にして合算する。従来手法は簡便だが、各食品の比率は無視せざるを得なかったという。

藤田医科大学臨床栄養学講座健康管理部の研究グループは、20~60歳の男女を対象に性別や年齢による食事パターンの違いを検証した。結果、10品目のうち、肉と果物がパターンに与える影響は大。各食品の摂取頻度で見られた傾向が食事パターンとしても確認できた。個人にひも付くα多様性を反映するシャノン指数(種類の多さとバランスの良さを考慮)では、年代が上がるほど、同年代なら女性が、多様性の高いことが示された。

NMDS(非計量的多次元尺度構成法。似ているものを近くに、違うものを遠くに配置する)解析およびRDA(冗長性解析。結果を矢印付き地図で示す)では、男女ともに年代によって食事パターンが異なり、肉・卵が若年層、果物・海藻・乳製品が高齢層に寄与することが明らかになった。性別では、魚が男性、果物・芋・野菜が女性に特徴的に現れた。

年代や性別ごとの食事パターンが可視化され、個別化栄養指導に役立つ知見が得られた。今回の研究では、これまで食品摂取量の違いとして大まかに認識されてきた食事パターンの年齢・性別による差異を統計的かつ明確に捉えることができた。年齢および性別を一致させたうえで、糖尿病やがんなどの疾患を発症した人とそうでない人の食事パターンの比較も行うことで、疾患の発症予測にも活用できる可能性がある。

日本人集団における食事パターンに関連する要因(年齢・性別)の役割を明らかにするうえで、α多様性およびβ(異なるグループ間)多様性の解析は有意義だと考えられた。今後、栄養指導時には、年齢や性別による食事パターンの違いを十分に考慮する必要があるという。研究グループの成果は、「Nutrients」に掲載された。