
プレフィルドシリンジ(薬液が予め充填されてある注射器の外筒)製剤を投与する。そのとき医療現場では、薬剤の誤投与を防ぐため、医師の指示を基に看護師が自身のIDと患者IDと処方IDを確認する、3点認証を実施している。投薬情報の確認及び登録は、これまで人手で行われていたが――
迅速な対応を求められる医療現場においては、薬剤の取り違えリスクや医療従事者の業務負荷の高さが課題になっているという。TOPPANエッジは、テルモと共同で、プレフィルドシリンジ向けUHF帯RFID(電波認識証明)タグを開発した。同製品はまず、後者が販売するニトログリセリン静注25mg/50mLに搭載され、RFIDシリンジ[テルモ]として活用される。
プレフィルドシリンジは、充填されている薬剤の容量に合わせて大小さまざまなサイズがあり、今回、容量の小さなシリンジにも対応する小型のRFIDタグを独自に設計した。薬液を精密に注入するためのシリンジポンプ利用時には、RFIDシリンジを、同タグで薬剤の情報を認識できる機能を備えた専用のシリンジポンプにセットすることで、外筒に貼付された電波IDが自動的に読み取られる。
UHF帯であるため、その向きに関わらず正確に読み取りが可能で、医療従事者は従来の運用を変えることなく作業できる。同シリンジに搭載したRFIDタグは独自のアンテナ設計技術により、一般的にありがちな薬品による通信特性上の影響も受けず、シリンジポンプが上下に多数配置された状態でも対象シリンジのみの読み取りを実現する。
RFIDタグによる認証を通じて、医療現場の誤投薬の防止と投薬業務の負荷軽減に貢献するという。同社は、今後もテルモのICタグ付きプレフィルドシリンジのラインアップ拡大に合わせて、両社で共同開発したRFIDタグを製造・供給していく。医療現場DXによって、医療安全や医療従事者の負担軽減に寄与していく構えだ。