
取引帳票は、基幹業務システムとの連携時に、記載情報の書き写しが必要になる。当該転記作業はOCRを用いれば容易かつ効率的に行える――はずだが、実際には企業や担当者ごとの運用により、記載内容を修正して後段の基幹業務システムに入力するケースがある。
帳票上のお客様番号や請求書番号の一部分を抽出して転記したり、和暦の日付を西暦に変換したりといった個別対応が現場の手間と負担になっていたという。リコーは、生成AIを活用して企業や担当者ごとの処理ルールに合わせてOCR結果を最適化する技術「適応型AI-OCR」を開発。同技術をリコージャパンが「RICOH 受領請求書サービス」と「RICOH 受領納品書サービス」に実装した。
ユーザーによる修正履歴などの情報を生成AIに取り込むことで、個別処理ルールに合わせた出力を事前設定なしに実現する。同技術は――文書内の情報をテキスト化することを目的としていた従来のAI‐OCR技術に対して――ユーザーの処理ルールまで反映したテキスト出力を可能としたうえに、生成AIがOCRの誤認識を修正することで帳票認識の精度向上も実現したという。
複数項目にまたがる情報の結合、情報の必要部分を抽出、複数項目の必要部分を抽出しルールに合わせた形式で生成、といった改善事例が挙げられている。「適応型AI-OCR」により、帳票項目内の必要箇所のみを抽出する、表記を自動修正するなど、企業や担当者の処理ルールに合わせたOCR結果出力が可能となる。
今回、「トレード帳票DXシリーズ」の上記2サービスへの実装で、請求書や納品書の処理業務をさらに効率化し、バックオフィス業務の負担軽減と業務全体の生産性向上に貢献する。上記新技術をリコージャパンの他のサービスにも順次展開していく。同社は今後も人にやさしいデジタルで"はたらく"に寄り添い、お客様が"はたらく"歓びを感じる、そのお手伝いをするという。