"ひょう"による突発被害を未然に防ぐ、行動に繋がる仕組みをPoC

異常気象ないし気候変動が社会課題となっている。近年、それらの影響で、建物や農作物に甚大な被害をもたらす雹(ひょう)災害が頻発し、自動車が損傷するケースも多発している。そこでこれまで、雹災害発生時に集中する事故連絡への対応策と、降雹被害顧客への支援策を講じてきた。

すなわち修理予定の確認や保険金請求の意思確認を可能とするパーソナライズド動画や、修理費用算出の迅速化に向けた商業施設でのドライブイン方式による損害確認等を導入し、顧客へのサポート態勢を強化してきた。一方で、局所的かつ短期的に発生するため予測が難しい降雹を予知・事前通知できれば、屋根つき駐車場への移動や雹対策用ボディカバーの使用など、大切な財産である車を守る行動につなげてもらえるのではないかと考えたという。

MS&ADインターリスク総研SBI損保は今年3月、気象ビッグデータと自動車保険における過去の雹災害データを基に、雹災害の発生予測モデルの構築および精度検証を目的としたPoC(概念実証)を実施した。降雹予測モデルの独自開発はダイレクト損保で初だという(2025年4月24日現在)。

前者保有の自動車保険金支払実績、気象ビッグデータ解析および独自AI技術を、後者の自動車保険金支払実績に適用し、雹災害発生予測モデルを構築して精度を検証するために当該コンセプトを証明した。今後は、予測モデルのさらなる精緻化を進めるとともに、予測モデルに基づく降雹アラートの契約者への配信を2025年度中に開始することを目指し、具体的な検討と、所要体制の整備とを推し進めていく。

両社は、万が一の際の補償を充実させるだけではなく、被害を未然に防ぐことで損害を抑制することも重要であるという認識のもと、引き続き双方の持つ技術やデータを活用することで、商品・サービスの提供を通じた社会課題の解決ならびに顧客満足度の向上に注力していく構えだ。