ITの現代化に資するAIソリューションを実業務環境で運用へ

IT(情報技術)分野での人材不足が深刻化している。日本国内では、特にメインフレームなど既存システムの運用・保守含むシステム開発に対応できる人材の不足が喫緊の課題である。企業は今、システム開発・運用を効率化し、エンジニアの生産性を向上することが必要だ。

そうすることで、より戦略的な領域で高品質な成果を出せるようにする環境整備が求められているという。明治安田生命は、日本IBMと、自社のITシステムの開発と運用プロセスの効率化および高品質化をめざし、後者が提唱する「IT変革のためのAIソリューション」を活用した実証実験を行った。両社は現況を分析しながら生成AIの活用対象を検討し、①一連の開発工程の効率化の検証、および②各工程のトレーサビリティー・チェックの検証をした。

①では同ソリューションの「コード生成のためのAI」と「テスト自動化のためのAI」を活用し、メインフレーム開発の「内部設計、コーディング、単体テスト」の作業項目において、単体検証ではなく、一連の作業に生成AIを活用する検証を行った。個人保険や企業保険の各システム実業務の成果物を利用し、生成AIで作成した内部設計書をインプットに、生成AIがコーディングやテストケースを作成するなど、各作業を連携させた。

その結果、「内部設計、コーディング、単体テスト」の一連作業において、約25%の効率化を実現した。また、②の実証実験では、同ソリューションの「コード生成のためのAI」を活用し、要件定義から外部設計、テスト工程のトレーサビリティを確認する作業に対し、生成AIの活用を試行した。要件定義書や外部設計書、テストケースなどで利用されている保険業界特有の用語についても、補足情報を付加することで生成AIの精度向上を実現したという。

上記2種類の実証実験の成果を受け、両社は、今年4月から実業務環境でのパイロット運用を開始する。