熟練オペレーターの操作ログを基にインフラDXシステムを開発する

労働力不足や技術継承が大きな課題となっている。日本では現状、公共インフラにおいて、各種センサーから得られる大量の信号を監視・制御することで日々の運転を維持している。機器の故障や気象等による異常発生時には、早期に要因を特定し対応策を講じる必要があるが――

要因の特定はベテランオペレーターや専門家の判断に依存する場合が多い。人口減少や気候変動に伴う異常気象の増加、施設の老朽化が進む中、その人たちが培ってきた経験や知見に基づくノウハウをデータとして蓄積することで、運転管理・維持管理を高度化するDXシステムの実現が急務だ。当該システムの開発では、その初期段階にオペレーターや専門家へのヒアリングを行い、システム要件や機能を明確にする要求分析を行う。

ヒアリングだけではしかし、忘れてしまったり思い込みによって見逃したりしている操作の実態や、オペレーター自身も気づいていないような暗黙知を把握することが困難だった。従来、オペレーター全員を対象とすれば膨大な時間を要するため、ヒアリングは一部のオペレーターに限定せざるを得ず、包括的な情報収集も難しかったという。三菱電機は、インフラの運転管理・維持管理を高度化するDXシステム向けの「操作ログドリブン開発技術」を開発した。

世界初だという。同技術は、システムの操作ログおよび暗黙知――オペレーターがシステム画面に表示している信号の関連性から「同じ目的の操作フェーズ」を自動で抽出・可視化する。操作の実態を収集、解析し、関係者間でノウハウを共有し易くする。技術継承を効率化するとともに、要求分析を一層的確かつ短期間で実現させる。

当該分析によりプロトタイプを早期構築し、その操作ログを取得して改良を繰り返すことで効率的にブラッシュアップが可能となる、DXシステムの開発期間の大幅な短縮に貢献する。上記開発成果の詳細は「INTERACTION 2025」で紹介される。