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農業技術と情報通信技術(ICT)を連携させる。そうして更なる生産の効率化や農作物の高付加価値化を目指すものだったり、農業の生産〜販売にICTを活用し高い農業生産性やコスト削減、食の安全性や労働の安全等を実現するものを「スマート農業」と定義している。
矢野経済研究所は17日、国内スマート農業市場について、その規模、参入企業の動向および将来展望を明らかにした。2024年度の同市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比109.9%の331億5,400万円の見込みだという。同年度は、施肥量低減につながるスマート田植え機システムや、環境変化把握用の生育マップを作成できるリモートセンシングシステムなどが足場を拡大――。
ドローンの積載量が大型化していて、可変施肥を行う生産者も増えている。生育マップと連動した可変施肥システムの普及により、作物の生育不良箇所にピンポイントで肥料を散布することが可能となる。そしてそれは、生育のバラつきを解消することや、余分な肥料の施用ないし労力の削減につなげられる。
30年度の同市場規模は788億4,300万円になるだろう。スマート農業技術で取得する圃場の生育情報を利用して、各地域の収穫適期を予測し、精緻な出荷計画を作成できれば、様々な業種業態向けの新たな仕組みが展開できる。例えば、実需者の要望時期に合わせた、出荷・廃棄ロスが発生しない産地毎のリレー出荷計画の立案だったり、ロボット農機やドローン等のシェアリングといった新たな農業ICTサービスの実現可能性がある。
農水省r5白書によると、今後20年で基幹的農業従事者数は約1/4となる。従来の生産方式では農業の持続的な発展や食糧の安定供給を確保できない。農地面積・労働時間当たり収量アップ技術は不可欠であり、そうした課題を解決できるスマート農業の普及拡大が必要だという。同社の調査レポート(抄)は1000円で確認できる。