損害保険DX、生成AI・RAGの活用により事故対応を迅速化

事故対応サービスの業務では、個々の事故内容に基づき、各種法令や保険約款、車や医療の知識、判例などの多角的な観点から、適切に判断し対応することが求められる。現在しかし、参照すべき情報が分散していて、社員が判断する際に多くの時間や労力を費やしている状況にあるという。

イーデザイン損保は、生成AIを活用した新しい業務支援ツールを開発・実装した。事故対応サービスに特化していて、社員がより迅速かつ正確に業務を遂行できるよう支援する同ツールにより、スピーディーな保険金支払いを実現し、顧客体験の向上に寄与することを目指す。同社は、インシュアテック企業として、単なるデジタル化ではなく、ITの浸透が人々の暮らしをより良くしていくDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。

業務プロセスにおいては、昨年4月から全社員向けにセキュアな環境でアクセスできるChatGPTを展開するなど、社員の生産性アップ・業務効率化に向け、生成AIを活用した施策を実施してきた。そして今回、DXの一環として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:生成AIが質問に回答する際、自社のデータベースから情報を検索し回答を生成させる手法)を活用し、事故対応サービスに特化した業務支援ツールを自社開発した。

社員が同ツールに質問を入力すると、AIが社内で保有する様々なマニュアルや保険約款解釈の事例、社内FAQ等を参照し、迅速に回答する。

同ツールを事故対応サービス部門の社員がセカンドオピニオンとして活用する――生成AIに内在するハルシネーション(事実誤認や論理の矛盾)リスクを排除するため、AIの回答を参照にとどめ、最終判断は社員が行う――ことで、顧客対応や保険金支払いに関する迅速な判断が可能になるという。同社は、上記サービス業務の効率化によって生まれた時間を、顧客体験向上につなげていく考えだ。