日本人就業者数が伸び悩み、熟練技術者の高齢化が止まらない。建設業界において、「魅力的で働きやすい環境」づくりに向け、2022年度の社内情報基盤システムの構築を皮切りに、全社の業務効率向上を進め、23年度からは野帳(やちょう)のデジタル化など建設テックに取り組んでいるという。
北野建設と日立ソリューションズはいま、生成AI技術で、建設技術の調査や書類作成などの現場作業を省力化するプロジェクトを進めている。建設業界が人材不足と高齢化の課題に直面しているなか、前者でも生産性向上と技能継承が急務となっていて、両社は建設業界の生産性向上をめざすDX推進プロジェクトの戦略的パートナーとして協創を推進――。今回、生成AI技術の適応について、実業務での検証を来年3月まで実施する。
現場作業の省力化プロジェクトでは、社内外に蓄積されたデータから技術や工法、規定、ヒヤリハット事例などの情報収集や週次報告書の一部の自動作成を生成AIで行い、検証結果をフィードバックすることで、実用的なソリューションの構築をめざす。
クラウド環境に作成したChatGPTとRAG(検索拡張生成)を活用し、国土交通省の公開資料や北野建設社内に蓄積されている膨大な資料について、文字、図と画像、表の3データを構造化し、ベクトルDB(ベクトル形式で情報保存)化させている。利用者はPCやタブレット上のチャットボットと対話することで、業務に関する有用な情報を収集できる。同プロジェクトでは、生成AIの回答精度を検証する。
前者からのフィードバックを元に、上記精度向上と適用業務範囲の拡大を進める、日立ソリューションズは、同プロジェクトのコンセプトをJAPAN BUILD TOKYOで展示すると同時に、来春頃のソリューション提供を予定している。同ソリューションの全社採用を視野に入れている、北野建設は、社内蓄積データの有効活用を目標としている。