日本人の約1/3が高血圧症だとされる。心疾患や脳卒中のリスク因子でもある高血圧の主な要因として、塩分の過剰摂取が知られているが、食塩摂取量に対する血圧上昇反応性(食塩感受性)は特定の遺伝子で決まり、個人差がある。高血圧症の改善において――
当該遺伝子型を持つ人は減塩により降圧効果が期待できるが、そうでない人にはその方法は効果がなく、薬の摂取や運動などが必要だ。日本人の高血圧症患者において、食塩感受性高血圧と食塩非感受性高血圧の割合はほぼ半々、より効果的な治療の実現には患者ごとの対応と、当人の適切な行動変容が重要だという。
京都大学大学院医学研究科、東芝、Wellmiraは今月17日~12月16日、AI健康アプリ活用による、遺伝情報を踏まえた減塩指導の介入効果検証――ランダム化比較試験を行う。食塩感受性遺伝子型を持つ高血圧傾向の人を特定し、対象者に同遺伝子型を有することを告知した上で、Wellmiraのスマホアプリ「カロママ プラス」を通じて個別アドバイスを送り、各人が食塩摂取量を減らす行動変容を起こせるかを検証する。
1.5万人超の東芝企業コホート登録者のうち、この研究に同意した約300名(予定)を対象に調査を実施。条件を変えて比較し効果検証するため、参加者を介入群・対象群①・対象群②に分ける。介入群には上記告知後、同アプリに食事内容を記録してもらい、AIによるアドバイスや、減塩や食塩感受性遺伝子型に関するコラムやクイズを配信する。対象群①・②には遺伝情報の告知は行わない――。
調査で得られたデータ等について、京都大学が医学的知見を生かし解析・分析を行う。効果が確認できれば、遺伝情報を踏まえた減塩指導プログラムをサービス化、保健・栄養指導現場での活用が期待できるという。3者は今回の共同研究を基に、「パーソナライズド・ニュートリション」の実現および健康寿命の延伸に貢献していく考えだ。