トンネル建設現場から衛星通信網で3D点群データをリアルタイム伝送

建設業界でも2024年問題が言われている。労働時間の減少による工期の遅れや人手不足の深刻化等が懸念されている。そこで、DXより建設生産プロセス全体の効率化を図る、40年度までに現場の生産性を1.5倍にし、3割以上の省人化を達成する――

上記目標を掲げて、国交省は今春「i-Construction 2.0」を公表した。その基礎となる情報技術のひとつ、3D点群データは、測量等での活用が進んでいる。一方で、そのデータ量は非常に多く、リモート共有には当該データの記録媒体そのものを事務所へ運んだり、長時間かけてクラウドに伝送したりせねばならず、即時共有が困難だったという。

KDDIKDDI総合研究所KDDIスマートドローン清水建設は8月初旬、北海道新幹線・渡島トンネル上二股工区の坑内外おいて、Starlinkベースの「Satellite Mobile Link」を活用し、四足歩行ロボット(アスク提供Unitree製)やドローンのLiDAR 3Dスキャナで撮影した点群データを、同現場から都内「温故創新の森NOVARE」へリアルタイム伝送する実証に成功した。

小型コンピュータでも動作する3D点群データのリアルタイムエンコーダによる圧縮(GーPCC)で、所要伝送帯域を約1/20にし、数時間かかっていた遠隔での撮影~データ確認を10秒以内とした。いずれ四足歩行ロボットやドローンなどを遠隔操作/半自動化/自律化することで、リモート施工管理・監視・検査が可能になる。

総務省SCOPE(国際標準獲得型)の委託を受けて実施した研究開発の成果である同実証で検証した技術を活用することで、施工進捗や壁面のずれ・亀裂などの異常を、遠隔からリアルタイムで確認できるため、建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮できる。今後も人手がかかる作業のDXを目指し、実用化に向けた取り組みを進めていくという。