医療データ活用基盤+AIサービスでドラッグ・ロス課題は解決へ

対象患者が点在していて、治験計画に必要な症例収集に多大な時間とコストを要している。薬価抑制策も相まって世界から取り残されている、日本は、新薬開発のために企画される国際共同治験の対象地域外とされるケースが増加し、昨年3月時点で――

本邦未承認の医薬品は143品目(厚労省PDF)に上り、ドラッグ・ロス問題が深刻化しているという。富士通は、Fujitsu Uvanceのもと、人々のウェルビーイングの向上に取り組むHealthy Livingにおいて、製薬企業や医療機関などと共に、治験領域で医療データを活用した新たなエコシステムを構築することで、国際共同治験を日本へ誘致する取り組みを開始した。

今回、世界最先端の治験プラットフォームを提供する米国スタートアップParadigmと戦略的パートナーシップ契約を締結。同プラットフォームと、自社の医療データ利活用基盤Healthy Living PlatformおよびAIサービスFujitsu Kozuchiを活用することで、医療機関が持つ医療データの収集や加工を促進し、治験計画業務の効率化と期間短縮を実現する。

新規オファリングPatient-centric Clinical Trialsとして、独自LLM(大規模言語モデル)を活用した治験文書の自動作成サービスを26日に始めた。富士通は、さらなるパートナーとの提携やオファリングの拡充により、治験計画業務のみならず、治験の実行段階を含めたプロセス全体を包括的に支援することで、この国の治験環境におけるデジタル化を加速していく。

わが国で多くの国際共同治験が実施される土壌をつくり、ドラッグ・ロスの解消を目指す。同社は、今後も、人々のウェルビーイングの向上を追求する取り組みを推進し、医療データ利活用による新たな価値創造を通じて、一人ひとりが自ら自分らしい生き方を選択できる社会の実現に貢献するという。