陸上でのレベル4(特定条件下での完全自動運転)サービス。それを人口密集地で社会実装するには、人や車両が多く行き交う公道での安全性の担保、実際の交通流に応じた停車位置および運行スケジュールの調整など、実運用上の課題がある。
実車を用いた公道での検証には想定外の事故等のリスクが伴う。人や車両の急な飛び出しや交通量の多い道路での右左折といった危険が伴う状況など、全シナリオを検証することは困難である。自動運転車両の調達費や運行管理・監視者等の人件費などに加え、検証準備から実走行に至るまでに数カ月~半年を要する時間面の課題もあるという。
DTCとBIPROGY、三菱プレシジョン、東京海上日動、IHI、先進モビリティは、千葉市で自動運転バスをはじめとする近未来モビリティの実装に向けて、デジタルツイン(サイバー空間に再現された物理モデル)を活用した安全性検証に取組んでいる。仮想空間でのシミュレーションにより、レベル4自動運転サービス実装に向けた質の高い安全性検証を実現する。自治体主導で、仮想空間にて自動運転の安全性を検証する事業は全国初だという。
デジタルツインを活用した"自動運転実証環境構築・実証実験業務委託"ならびに"自動運転車サービス実装支援等業務委託"のもと、実車を用いた公道検証では難しいシナリオを含めた、高品位セーフティ検証の具現化を目指す。幕張新都心の実際の交通環境や車両走行データ、リスク箇所や事故データを用いて仮想空間の環境を構築し、その上で、走行条件や車両パラメータを自由に設定し、走行検証を幾度も重ねる。
同事業の後には、運行事業者による走行のトライアンドエラーを実車走行とデジタルツイン環境の双方で繰り返しながら改善を重ねることも予定している。どのような走行条件であれば安全な運行が可能であるのかを緻密に分析し、幕張新都心における自動運転サービスの社会実装に大きく貢献するという。