日本におけるフェムテックは発展途上、思ったほどには進んでいない

IoT(モノのインターネット)やスマホアプリの利用は人々の健康行動を促す。メタボリックシンドローム等改善の効果が知られるが、働く女性によるIoT/アプリ利用と女性特有の健康問題との関連を検証した研究はなかった。女性が抱える健康課題をIT(情報技術)で解決する――

"フェムテック"商品・サービスについて、日本国内でも関心や期待が高まりつつあるが、その利用実態は不明だったという。東京大学大学院新領域創成科学研究科聖路加国際大学大学院看護学研究科の研究グループは、AMEDヘルスケア社会実装基盤整備事業の支援により、働く女性の健康問題を特定し、健康管理を目的としたIoT/アプリの利用実態を明らかにした。

同研究では、日本全国の20歳から64歳までの女性1万人を対象に、健康管理のためのIoT/アプリの利用状況についてのインターネット調査を実施した。結果、利用中の人は14.6%、利用していた人は7.0%、利用経験がない人は約8割だった。現在利用している女性のうち27.6%が月経関連の症状や疾患を抱える一方、それを下回る17.1%の女性がそれらの改善のためにIoT/アプリを利用していることが分かった。

一方、やせ・肥満・むくみ・ダイエットや栄養障害の問題を抱える女性は17.1%だったが、これらの問題を改善する目的でIoT/アプリを利用する女性は実際に問題を抱える女性を上回る27.8%だった。このことから、IoT/アプリの実利用目的と健康状態の実態には乖離があることが分かった。

AMEDが進める科学的なエビデンスに基づくヘルスケアサービスの社会実装ならびに様々な世代の女性にとって働きやすい環境整備に活用される。今後、働く女性の健康ニーズに対応したデジタルヘルス機器の開発と利用が推進されるだろうという。研究成果はJMIR Public Health & Surveillanceに掲載された。