ものづくり現場ネットワークに対する不審な攻撃をAIで検知する

労働力不足が深刻化している。日本ではそれを解消する一方策として業務のデジタル転換(DX)が進んでいる。2022年のDX関連――重要インフラや製造現場のIoT(モノのインターネット)化などの設備投資は20年比約2倍の伸びとなっている。

『2023年版ものづくり白書』PDFに上記数値が示されていて、IoT・OT(運用技術)機器の導入進展に伴い、サイバー攻撃のリスクも高まっている。攻撃手法は日々高度化し、従来のパターンマッチ型(事前登録通信パターンとの照合)では検知できない攻撃が増加している。そのため、AIを活用した「ふるまい異常検知」を要する。経済安全保障の観点で、国産技術を用いた対策への期待も高まっているという。

三菱電機NTT Comは5月28日、NTTと共同開発したIoT・OT向けネットワーク異常検知システムの提供を開始した。当該仕組みの一部には内閣府SIP「IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ」(管理法人:NEDO)の成果を活用している。今回のソリューションはNTT製AI分析エンジンを搭載したもので、深層学習系AIによる「ふるまい異常検知」を活用し、重要インフラや製造現場等におけるIoT・OT領域のセキュリティを強化する。

①AIによる「ふるまい異常検知」でネットワークトラフィックを解析し未知の攻撃を検知、②多数の標準仕様プロトコルや独自仕様プロトコルに対応、③既存システムへの接続容易性を特長とする。同ソリューションはネットワークセンサと分析サーバで構成されていて、センサは前者が、分析サーバは後者およびNTTが開発した。三菱電機製造現場内での実証で有効性を確認し、顧客への提供を始めた。

今後、顧客の利用形態に合わせた提供メニューを拡充することで、より最適なソリューションの提供を目指すという。両社は協同してIoT・OT領域のセキュリティ強化を推進する構えだ。