事故の対応業務に生成AIを活用、通話内容を自動で文章化し要約する

ウェブによる双方向コミュニケーションや完全ペーパーレスを目指した。3年前に新たな損害サービスシステムを稼働させて、顧客に一層満足してもらえる価値の提供を始めたうえに、グループのシナジー発揮等も実現――。

現在、事故対応業務では、一貫性のあるサービスを提供するため、事故関係者との通話内容を担当者が書き起こし、上記システム「BRIDGE」(21年7月発表PDF)に登録している。当該経過記録作業には多くの時間を要する。そのため顧客に寄り添った迅速かつ丁寧な対応、さらには防災・減災取組等の新たな価値提供に向けて、業務の省力化による時間創出が課題になっていたという。

三井住友海上NECは、事故対応時に顧客等との通話を自動でテキスト化し、生成AIにより要約するシステムを開発した。一部の保険金お支払センターで先行導入していて、今年中に全国のセンターへ導入することを目指す。両社は業務プロセスを変革し、生産性向上と新たな提供価値の創造に取り組んでいく。

今回のシステムは「NEC Enhanced Speech Analysis -高性能音声解析-」を利用している。話し手の識別と、事故関連用語等の学習により、高精度なテキストを作成する。マイクロソフト「Azure OpenAI Service」にてテキスト化された通話内容を即座に要約。担当者が内容を確認した上でBRIDGEに登録する。これにより創出した時間で顧客対応をより充実させ、事故対応の品質向上につなげる。

導入効果やリスクを検証しながら段階的に導入し、全国利用・展開を進めていく。三井住友海上は、NECが顧客と共に生成AIの活用促進を目指す「NEC Generative AI Advanced Customer Program」に参画している。同プログラムを通じて、より損害保険業界に特化したLLM(大規模言語モデル)の導入等も検討していく構えだ。